読むべき本、見逃していない?

無一文から復活した与沢翼さんが説くポストコロナのマネー論

お金の真理

 与沢翼さんと言えば一時期、「秒速で1億円を稼ぐ男」と呼ばれたが、その後無一文になり、最近は海外で復活したと聞いていた。バブリーな人だと思っていたが、本書『お金の真理』(宝島社)を読み、印象が変わった。自らの失敗体験をさらけ出して、お金についての哲学とポストコロナのマネー論を語っている。

バブリーな過去を反省

 過去の自分の行いをこう振り返っている。1982年埼玉県生まれ。早稲田大学在学中にアパレル会社を立ち上げ、年商10億円程度の商売に育て、渋谷109にも出店した。しかし、無理な事業拡大のために5年ほどで倒産させてしまう。手持ち資金がなくなり、「なりふり構っていられず、情報商材というアングラなビジネスの世界へと足を踏み入れました」。

 あっさりと大金が入るようになり、少額のお金の価値をなめるようになった。反省を込めて当時の散財ぶりを書いている。

 六本木の月額200万円の高級賃貸に住み、ロールス・ロイスなど何台もの高級車を新作が出るたびに乗り換えて所有。月々の家賃は5つの賃貸物件を合わせて約800万円、車には1億5000万円以上、高級腕時計にも数千万円を使った。

 夜遊びも派手だった。年間360日は夜の街に繰り出し、豪遊。「与沢会長!」とおだてられ、ひと晩で1000万円使うこともあったという。

 怪しい連中も近づいてきた。彼らに勧められた案件に数億円を投資してすべて溶かしたという。2014年に法人税の滞納により会社を解散、ほとんど無一文になった。家賃15万円のワンルームマンションに引っ越し、そこからお金との向き合い方を考え直したという。だが、「拝金主義は悪、質素倹約は善」という単純な善悪二元論に陥るのではなく、「大切なことは、お金との付き合い方」だとしている。ここまでが、「序章 『欲望の日々』から学んだこと」に書かれている。

お金についての心得

 以下、「第1章 お金とは何か?」「第2章 お金を守る」「第3章 お金をつくる」「第4章 お金を増やす」「第5章 お金に愛される生き方」という構成。興味深い見出しをいくつか抜粋しよう。

 ・お金は備蓄、備蓄はパワー
 ・本当のお金持ちとは年収ではなく「純資産」の多い人
 ・人脈はお金を奪っていく「負債」となる
 ・お金持ちになりたいなら個人会社を持つことは絶対条件である
 ・大げさな起業はするな
 ・本業を続けながら「副業」で稼げ
 ・「タワマン高層階」「LINE交換」「港区女子」は有害無益
 ・「純資産1億円」のコップからあふれた水だけをすする
 ・真のお金持ちは現金のまま放置しない

バンコクで質素な暮らし

 与沢さんはいま、家族3人で主にバンコクに住み、ひと月に使うお金は3万5000円程度だという。テレビでドバイなどを舞台にした海外生活を定期的に紹介しているのは、知名度を維持するための「あくまでもエンターテインメント」だという。

 株式、不動産、外貨などの個人投資家、大家業で年間5億円から15億円の収入を得ている。先日は株で2億円の損切りをしたばかりだそうだ。

 本書では随所で、新型コロナウイルスについてふれている。今後の流れをこう見ている。

 1 ダム経営の思想が貫徹していた日本は、利益剰余金を大切に積んでおく習慣を持っていたため相対的に優位に立ち、結果、生き残る。
 2 衛生レベルやその習慣がもともと高かった日本のコロナ被害は、世界的に見れば相対的にマシな範囲に収斂される。
 3 在宅、巣ごもりとなることで、家の中に投資する流れや家の中を充実させるサービスが隆盛を極める。

 これまでのやり方や慣習、文化、考え方を捨ててゼロベースで新しいことに挑戦するならば、リスクはリスクでなくなる、と説いている。

 具体的に投資法を勧める内容ではないので、うさん臭いと思っている人も安心して読んでいいだろう。投資についての考え方は参考になる部分も少なくない。天国と地獄を味わった与沢さんだからこそ書けるマネー論と言えよう。

 BOOKウォッチでは、関連で『日経平均が1日1000円暴落する相場で勝つ投資術』(日本経済新聞出版社)、『2020年世界大恐慌――資産家は恐慌時に生まれる』(第二海援隊)、『金のなる人』(ポプラ新書)などを紹介している。

  
  • 書名 お金の真理
  • サブタイトル与沢翼が出したお金と幸せ、その最終結論
  • 監修・編集・著者名与沢翼 著
  • 出版社名宝島社
  • 出版年月日2020年5月 7日
  • 定価本体1300円+税
  • 判型・ページ数四六判・366ページ
  • ISBN9784299000149

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