読むべき本、見逃していない?

「2020年世界大恐慌」が予言されていた!

  • 書名 2020年世界大恐慌
  • サブタイトル資産家は恐慌時に生まれる
  • 監修・編集・著者名浅井隆 著
  • 出版社名第二海援隊
  • 出版年月日2018年6月22日
  • 定価本体1600円+税
  • 判型・ページ数四六判・252ページ
  • ISBN9784863351882

 新型コロナウイルスの拡大で、世界経済が大混乱に陥っている。生産や消費全般が滞り、感染防止で観光や旅行、イベント業界は大打撃。2020年3月16日のニューヨーク株式市場はまたもや大暴落し、先行きへの不安が一段と高まっている。いつになったら収束に向かうのか全く見通しがつかない状態だ。

 本書『2020年世界大恐慌――資産家は恐慌時に生まれる』(第二海援隊)はまさにこんな昨今の状況を、2年近く前の刊行時に予言していたかのような警告書。いったい何が書いてあるのか。

いよいよ恐怖の幕が開く

 評者は経済について門外漢。したがって著者の浅井隆さんがどういう人なのか、まったく知らない。

 略歴によれば、浅井さんは経済ジャーナリスト。1954年生まれ。早稲田大学政治経済学部在学中に環境問題研究会などを主宰。一方で学習塾の経営を手がけ学生ビジネスとして成功を収めるが、思うところあり、一転、海外放浪の旅に出る。帰国後、毎日新聞社に入社。写真記者として世界を股に掛ける過酷な勤務をこなす傍ら、経済の猛勉強に励みつつ独自の取材、執筆活動を展開する。94年に独立。96年、従来にないまったく新しい形態の21世紀型情報商社「第二海援隊」を設立し、以後約20年、その経営に携わる一方、精力的に執筆・講演活動を続ける――とある。

 この略歴から、おおよその人物像が浮かび上がる。本書は、自分が作った会社からの出版物ということがわかる。ではなぜ、2020年に世界大恐慌が起きると考えたのか。本書は以下の構成。

 プロローグ "史上最大の経済事件"は目前だ
 第一章 世界は火種に覆われている――いよいよ恐怖の幕があく
 第二章 バブル狂騒曲――不動産、株、ビットコイン、美術品・・・
 第三章 二〇〇六~二〇〇九年、リーマン・ショック前後に起きたこと
 第四章 世界経済が抱える史上最大の債務
 第五章 「恐慌」経由「国家破産」――今後、起きること
 第六章 資産家は恐慌時に生まれる!!
 エピローグ どんな時代でも家族と財産を守るために

株や不動産がバブル化

 なかなか刺激的な見出しが並んでいる。「次にやってくる危機は、あのリーマン・ショックをも上回る史上最大の経済事件となる可能性は高い。しかも、その到来は何年も先の遠い将来のことではない」と言い切っている。背景として、リーマン・ショック後に世界各国で政府による財政出動と中央銀行による大幅な金融緩和が行われ、株や不動産がバブル化していることを挙げている。

 もちろんこれは、浅井さんが独自で言い出したことではなく、第一章では、米シカゴ大学のボブ・アリバー教授や、高名な投資家、ジム・ロジャース氏の発言などに同調する形で主張している。

 「危機は別な顔をしてやってくる」という格言があるそうだ。浅井さんも、「次の危機が何をきっかけに起きるか予測するのは難しい」としながらも、「火種はあちらこちらにくすぶっている」。

 第一章では、「ハイイールド債の恐怖」「IT銘柄の狂騒」「膨張するETF」などのリスクについて、内外の有力経済メディアのシビアな見方を紹介する。第二章では、仮想通貨や美術品投資、不動産、株などがすでに異常な水域に入っていることを、これも様々なメディアの情報なども参考にしながら報告している。

 「人口が減るのに増え続けるアパート建築」「日銀が作り出す実態をともなわない『官製バブル』」などの国内状況はしばしば指摘されてきた。「NZオークランドの不動産価格は適正価格の二倍以上」「香港の住宅価格はこの10年で三倍に」など、海外事情も織り込まれている。

感染症の関連本も出していた

 冒頭にも書いたように、評者は経済には門外漢なので、浅井さんの主張や分析が正しいかどうかの判断はできない。ただ、「大恐慌」はともかくも、個別のリスクについては、有力な経済メディアやエコノミストの間でもすでに警鐘が鳴らされている見方を援用しているところが多いと感じた。

 ちなみに、浅井さんには、『日本発、世界大恐慌! あなたは財産を守れるか? 日経平均4000円、前代未聞の大不況』(1992年)、『いよいよインフレがやってくる!』(2004年)、『チャイナ発世界大恐慌』(2008年)、『2012年中国崩壊2014年日本沈没』(2011年)などの予測本がいくつもある。今回は、理由はともかく、起きている現象としてはかなりストライクゾーンに近いといえるだろう。

 浅井さんには一方で、『パンデミック感染大爆発』(2008年)、『ウイルス戦争がやってきた!!』(2009年)、『新型インフルエンザ生き残りマニュアル』(2009年)など感染症を直視した著作もある。経済評論家としてはきわめて珍しい。今回の本に「感染症リスク」についても一章設けておけば、さらに予測に厚みが増し、先見の明を称えられたかもしれない。

 BOOKウォッチでは関連して、『日本銀行「失敗の本質」』(小学館新書)、『日銀バブルが日本を蝕む』(文春新書)、『日銀と政治』(朝日新聞出版)、『中央銀行の罪――市場を操るペテンの内幕』(早川書房)、『やってはいけない不動産投資』 (朝日新書)なども紹介済みだ。

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