社内の会議などで「で?」「何が言いたいの?」と言われたことはないだろうか? こんな風に言われれば自分の説明の下手さに落ち込むことだろう。だが、落ち込むことはない、と本書『「何が言いたいの?」ともう言わせない!説明の技術見るだけノート』(宝島社)は、勇気づけてくれる。
説明はスキルだから、説明がうまくなる方法があるというのだ。監修者の鶴野充茂さんは、ビーンスター株式会社代表取締役で社会情報大学院大学特任教授を務めるコミュニケーションの専門家。『頭のいい説明「すぐできる」コツ』(三笠書房)、『あたりまえだけどなかなかできない説明のルール』(明日香出版社)などの著書がある。それらを参考にヴィジュアルなイラストで解説したのが本書だ。
117のポイントすべてにイラストが付いているので、それらを眺めているだけで説明のスキルがわかる仕組みになっている。
本書の構成は以下の通り。
1 まずは結論から!わかりやすい説明の基本 2 短く、簡潔に!必ず伝わる説明の技術 3 箇条書きで明快にデキる!と思わせる説明の技術 4 「本気」で信頼を勝ち取る!相手が協力したくなる説明とは? 5 正確に伝える!失敗しないメールの技術 6 信頼性と説得力が増す会議・打ち合わせの技術 7 評価が上がる!成功のためのプレゼンの技術 8 説明以前のマナー常識"当たり前"のことが一番大切
まずは基本的なことからおさらいしよう。説明以前に注意しておくべき基本が4つある。清潔感ある外見と姿勢、誠実さや責任感を感じさせる態度、相手に応じた適切な敬語、笑顔や的確な返答などの対応だ。
次に結論は一つに絞ること。その上で、1要約→2背景→3ポイント→4判断 と順番に沿って説明する。
117のポイントの中で、「これは役に立つな」と思ったことをいくつか紹介しよう。
〇「自分のメモを相手に使わせる」 相手の前でノートを広げ、なるべく大きな字でメモをしながら話す。箇条書きできる短いフレーズで、後で第三者が見てもわかるように問題点や改善方法、結論などを時系列を意識して書く。
〇「『共感』で相手との距離を縮める」 相手の話をよく聞き、好きな食べ物や趣味、出身地など相手との共通項を見つける。それを話題にすることによって、相手との距離が近くなる。
〇「自分が何者か」をしっかり伝える 「単純接触効果」という心理学用語がある。同じモノや人に接する機会が多いほど、その対象に対して好印象を持つようになる。営業マンが用事の有無にかかわらず、定期的に顧客を訪問するのは理論的にも効果があるのだ。
〇パワポは主役ではなくツール パワポは簡単に作れる分、ムダな情報が増えやすく、結論を先送りする危険性がある。1枚に1つのメッセージを込める、新しい情報・意外性のある情報を入れる、テキストは読み取れる大きさ・長さで、などにも注意する。大切なのは見栄えではなく中身だ。
そう言えば、以前紹介した『アマゾンで学んだ! 伝え方はストーリーが9割』という本でも、同社では、新しい事業アイデアを提案する際、パワーポイントを使わない、文書形式で書く、プレスリリース形式で作成するというルールがあることを紹介していた。パワポをつくることを自己目的化している人は反省した方がいいかもしれない。
本書ではスキルの大切さも説いているが、相手を動かすには、本気度、熱意も大切だ、と書いている。
とは言え、117のポイントをすべて実践するのは難しい。鶴野さんは「繰り返しポイントを確認し、1つずつでも実際に試してみるようにしてください。これまでとは違った反応が得られるはずです」と書いている。意識せずに出来るようになれば、習慣として定着した証だ。説明というスキルからアプローチした優れた営業の書でもある。
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