読むべき本、見逃していない?

「ぼっち」はダメ人間? 悪いことなの?

孤独

 「同調圧力」という言葉がある。わりと最近の言葉だ。周囲に合わせないと仲間外れになってしまう。

 一方で「ぼっち」という言葉もある。仲間がいない。ちょっと蔑む語感がある。これも最近の言葉だ。--というわけで、現代日本における「孤独」とは、「同調圧力」が強まる中での「ぼっち」という感じがある。

偉人の言葉を紹介

 本書『孤独――ひとりのときに、人は磨かれる』(クロスメディア・パブリッシング)は、今風に言えば、そんな「ぼっち」でも、必ずしも悪くない、ということを論じている。著者の榎本博明さんは心理学者でMP人間科学研究所代表。人間にとって、孤独は過剰であっても不足してもいけないもので、 本当に重要なのは、そのバランスを整えることだという。

 冒頭、歴史上の人物の「孤独」についての箴言が紹介されている。

「最上の思考は孤独のうちになされ、最低の思考は混乱のうちになされる」(エジソン)
「人間は孤独でいるかぎり彼自身であり得るのだ。だから孤独を愛さない人間は自由を愛さない人間にほかならない」(ショーペンハウエル)
「孤独であって、充実している、そういうのが人間だ」(岡本太郎)
「霊感を受けるのはただ孤独においてのみである」(ゲーテ)

 著者はいう。「孤独というのは、そんなに忌避すべきものだろうか。私は、孤独から逃げ出そうとする最近の傾向には、どうも違和感がある。人間というのは、そもそも孤独な存在であり、孤独を感じない人などだれもいない」。

 孤独にはさびしく辛い側面もあるが、「創造的孤独」というものもあり、孤独がもたらす恵みにも目を向けるべきだという。いわば「孤独の効用」を説く。そして上記の「偉人」の言葉を紹介する。

仲間がいるのが当たり前

 もちろん、これらはおおむね偉人の発言なので、一般人とはやや異なる。ふつうは社会人になると「交友関係」が問われることが多い。ぽつんと点のように存在することは極めて難しい。いろいろな「つながり」が大事となる。いまやSNS時代。子供から大人まで、とにかく仲間がいることが当たり前になっている。「一億総つながり時代」だ。

 しかしながら著者は、本書の第1章の「孤独を奪われた人々」で、現代人がネット社会にどっぷり浸かり、孤独を忌避することで何が起きているかを厳しく指摘する。「考える時間が奪われ」、「本を読まない、読めない」人が増えて、「思考力が低下」しているというのだ。

 このくだりを読んで、すでにBOOKウォッチで紹介した何冊かの本を思い出した。創価学会という「巨大なつながり」の組織を育て上げた池田大作氏は『私の履歴書』で、少年時代は無類の読書家だったと回想していた。静かなところで集中するため、休日は墓地で読書したそうだ。ベストセラー、『君たちはどう生きるか』で繰り返し語られているのは、自分の頭で考えることの大切さだ。昨年話題になった五木寛之さんの『孤独のすすめ』も、マイナスイメージが強かった「孤独」に、プラスの意義を付与している。

 そういえば最近も下重暁子さんの『極上の孤独』がベストセラーになった。「孤独」が多くの人にとって大事で、真剣に向き合う意味のあるテーマだということが分かる。「ぼっち」必ずしも悲観すべからずだ。

  • 書名 孤独
  • サブタイトルひとりのときに、人は磨かれる
  • 監修・編集・著者名榎本 博明 著
  • 出版社名クロスメディア・パブリッシング
  • 出版年月日2018年11月 2日
  • 定価1080円+税
  • 判型・ページ数B6判・216ページ
  • ISBN9784844374626

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