毎日「楽しそうだね」「リア充だね」と周囲から言われるというニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さんは、世の中に「なんかつまらない」「なんとなく不安」と思っている人が多いことを心配していたそうだ。そうした感情を忘れるのは何かに没頭している時だと気づき、「没頭力」というキーワードを思いついたという。
放送作家の倉本美津留さん、精神科医の斎藤環さん、ゲームクリエーターの桜井政博さんら5人へのインタビューやニコニコ生放送でのやりとりなどを含めてまとめたのが本書『没頭力』(太田出版)だ。聞き慣れないことばだが、何かに没頭している時は、上機嫌だし幸福だから、この力を増大させようという吉田さんの試みは確かに有益だろう。
マーティン・セリグマンの「ポジティブ心理学」やミハエル・チクセントミハイの「フロー」の概念を援用しつつ、没頭の条件や技術についてあれこれ考える。そこで行き着いた「没頭する技術」は以下の6つだ。
1 楽しいと思ったことを書き出してみる 2 まずは手を動かす=行動すること 3 挑戦になっているかどうか確認する 4 不可能な挑戦をできそうな挑戦に変える 5 自分がいつモチベーションが上がるかモニタリングする 6 適度なストレスをかける
何をしている時に没頭しているかを著者がニコニコ生放送で尋ねたところ、「部屋の掃除」「ランニング中」「ギターのチューニング」「デザイン作業」「囲碁」「編み物」などの答えがあり、体を動かすという共通点があったという。手を動かし、ストレスを少しかけながら、やろうとするモチベーションを上げようというところはなんとなく納得できる。
専門家でもないのに、誰に頼まれたわけでなく、こうしたことを自発的に考え、本にした著者は偉いと思う。けっして読みやすい本ではないが、読むとなんとなくやる気がわいてくるだろう。こころのビタミンのような本だ。
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