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「お風呂が沸きました」のあのメロディ。作曲したのは誰? そこにあるクラシックの名曲

生活はクラシック音楽でできている

 音楽が好きで、ロックやポップスはよく聴くけれど、クラシックはあんまり......という方も多いのではないだろうか。高尚なイメージで敷居が高く、曲名も「ピアノ協奏曲第2番変ロ長調」だの「交響曲第6番ロ短調第1楽章」だのと、どれがどの曲なのかわかりづらい。身近に思えないのも、無理がない。

 ところが、実は私たちは、クラシック音楽を日常的に耳にしている。なんなら自然と口ずさんでいるかもしれないし、聴くと走り出したり、料理を作りたい衝動に駆られたりすることもあるかもしれない。曲名や作曲した人の名前は知らなくても、聴けば「あ~、これか」という曲はたくさんあって、私たちの生活に深く浸透しているのだ。

 音楽プロデューサー、渋谷ゆう子さんの著書『生活はクラシック音楽でできている』(笠間書院)は、そうした「よく知らないけど知っている」クラシックの名曲を集め、そこに隠された作曲家の人生や当時の時代背景、作曲の意図を、ユーモアたっぷりに解説した一冊だ。

『生活はクラシック音楽でできている』渋谷ゆう子著(笠間書院)

 たとえば、お風呂のお湯張り完了を知らせるあのメロディ。ノーリツ製の給湯器から奏でられるのは、セオドア・オースティン(エステン)作曲の「人形の夢と目覚め」という曲だ。日本人にとっては、ベートーベンやモーツァルトなどと比べなじみの薄いオースティンだが、ピアノを習ったことのある方なら、一度は彼の曲に触れたことがあるかもしれない。渋谷さんはノーリツの広報に取材し、この曲が選ばれた理由や、音源制作の裏話を聞き出している。

 また、太田胃散のCMには、ショパンの美しいピアノ曲が使われている。「24の前奏曲作品28第7番イ長調」と聞いても一度で覚えられそうにないが、曲を聴けばピンとくるはず。長い曲名の割にわずか30秒ほどの短い曲で、CMにはおあつらえ向きだったのだろう、と渋谷さんは推測している。あるいは、「胃腸薬だからイ長調」というだじゃれ説も。

 本書ではほかにも、映画やアニメの名シーンで使われている名曲や、運動会や結婚式を盛り上げるBGMなど、誰もが一度は耳にしたことのあるクラシックの曲を120以上も取り上げている。さらに、ページ下部にはQRコードがあり、紹介されている曲を聴くことができる。「あの曲」の正体を知れば、これまでとは違った響きに聴こえてくるはずだ。

■渋谷ゆう子さんプロフィール
しぶや・ゆうこ/香川県出身。大妻女子大学文学部卒。株式会社ノモス代表取締役。音楽プロデューサー。文筆家。AudioStylist®。音源制作、コンサート企画運営のほか、演奏家支援セミナーや音響メーカーのコンサルティングを行う。音楽ジャーナリストとして国内外での取材活動を行うほか、音楽雑誌やオーディオメディアでの執筆多数。著書に『ウィーン・フィルの哲学――至高の楽団はなぜ経営母体を持たないのか』(NHK出版)、『名曲の裏側――クラシック音楽家のヤバすぎる人生』(ポプラ社)がある。

  • 書名 生活はクラシック音楽でできている
  • サブタイトル家電や映画、結婚式まで日常になじんだ名曲
  • 監修・編集・著者名渋谷 ゆう子 著
  • 出版社名笠間書院
  • 出版年月日2023年12月25日
  • 定価1,870円(税込)
  • 判型・ページ数四六判・256ページ
  • ISBN9784305710031

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