2023年11月30日、眼科医・井上賢治さんの著書『いちばん親切でくわしい 緑内障の教科書』(世界文化社)が発売された。
著者は、日本有数の眼科専門病院院長として活躍してきた眼の専門医。本書は、そんな緑内障のスペシャリストである著者が書き下ろした、緑内障による失明から目を守るための完全マニュアル。推定患者500万人超とされる、目を酷使するすべての現代人が注意すべき病気「緑内障」に関する、知っておくべき知識を学ぶことができる。
「緑内障は早期に発見し、初期段階から適切な治療を行えば、決して怖い病気ではなく、かなりの確率で失明せずに生涯を過ごすことができます」
(「はじめに」より)
緑内障は、主に眼圧が上昇して視神経が傷つき、視野が徐々に狭くなる病気。日本における中途失明原因の第一位であり、とくに自覚症状はないのに、見えにくいと気づいたときにはかなり進行しているという、恐ろしい面を持つ。40歳以上の5%が罹患し、高齢者や遺伝的要因のある人に限らず、目を酷使するすべての現代人が注意すべき病気とされる。
また、本書では「緑内障になりやすいのはどんな人?」「緑内障になりやすい生活習慣とは?」といった気になるポイントから、病気のメカニズム、種類や症状、進行、検査、治療法、症例など、緑内障を正しく理解するための情報を網羅。さらに、暗い場所でのスマホや読書、喫煙、コンタクトレンズをしたままの就寝、管楽器の演奏、ヨガの逆立ちポーズなど、眼圧を上げるなど、目に負担をかける可能性があるNG行動も紹介されている。
【CONTENTS 本書もくじ】
はじめに
失明するって本当? 緑内障のロードマップ
70歳以上の10人に一人が有病者 緑内障は誰でもかかりうる身近な病気
目のサイレントキラー「緑内障」から目を守る!
戦略1:早期発見が何より大切 40歳を過ぎたら検診を/戦略2:緑内障になりやすい人の特徴を知っておこう/戦略3:眼圧1㎜ Hg低下で失明リスク10%減! 適切な治療と習慣で目を守る
第1章●緑内障ってどんな病気?【緑内障AtoZ】
緑内障は10年スパンでゆっくり密かに進行する/近視の人こそ予防に努めよう/緑内障のタイプは大きく3つに分けられる/緑内障治療の一般的な流れ/治療の目標は眼圧を下げ、進行を遅らせること/眼圧は常に変動していて個人差がある/治療法は年齢によっても違う/緑内障になっても必ずしも失明するわけではない ほか
第2章●早期発見で緑内障を見逃さない【検査と診断】
健康診断で「緑内障疑い」と言われたら即眼科へ/眼科の上手なかかり方/前視野緑内障、視神経乳頭陥凹拡大と言われたら/緑内障の検査/シートを使ってセルフ視野チェック ほか
第3章●緑内障を遠ざけ目の健康を守る【やめる習慣・始める習慣】
目の健康はセルフケアで守れる[やめる習慣] 行動編/食事編/運動編/メンタル編
眼圧を下げて視神経を良好に保つ習慣を[始める習慣] 行動編 紫外線をカットする・PC作業中は1時間に1回休憩をとる・ぬるめの半身浴で血流と睡眠の質をUP!/食事編 緑黄色野菜の抗酸化成分で目を元気に・ビタミンAで角膜・網膜の新陳代謝を促進・ビタミンB群で疲れ目を改善し、視力を回復/運動編 1回30分の有酸素運動で血流促進・ストレッチで全身のこりをほぐす ほか
第4章●緑内障の治療法【薬物療法】
治療の基本は毎日の点眼薬。その中断が最大の障壁/まず自分の緑内障のタイプを知ることが大切/緑内障治療に使う主な点眼薬/効果絶大! 正しい点眼の仕方/点眼薬が合っていないと感じたら ほか
第5章●緑内障の治療法【レーザー治療・手術療法】
点眼薬の効果があまり見られない場合の選択肢/レーザー治療 開放隅角緑内障に対する方法・閉塞隅角緑内障に対する方法/手術療法 眼圧下降に高い効果が期待できる・より負担が少ない低侵襲緑内障手術・難治性の緑内障を対象とする最後の手段 ほか
第6章●緑内障の症例報告【主な8つのケース】
症例①原発開放隅角緑内障 視神経乳頭陥凹拡大から緑内障を発症/症例④原発閉塞隅角緑内障 緑内障・白内障手術を同時に行い、眼圧が安定/症例⑤急性緑内障発作 片目に突然眼痛が起こり、レーザー治療・点滴で眼圧低下/症例⑦正常眼圧緑内障 飛蚊症をきっかけに緑内障と診断。点眼継続で経過観察/症例⑧ステロイド緑内障 ステロイド点眼薬を過剰に使い眼圧上昇 ほか
第7章●加齢に伴う目の変化【知っておきたい目の病気】
白内障は目の水晶体が濁って視力が低下する病気/加齢黄斑変性はものがゆがんで見える病気/網膜裂孔・網膜剥離は視野の欠けや視力が低下する病気/緑内障と間違いやすい脳の病気
おわりに
■井上賢治さんプロフィール
いのうえ・けんじ/井上眼科病院院長。日本眼科学会認定眼科専門医。専門は緑内障。医学博士。日本眼科医会常任理事。東京都眼科医会副会長。日本ロービジョン学会理事。日本緑内障学会評議員。医療法人社団済安堂理事長。千葉大学医学部卒業。東京大学医学部大学院修了。142年(創立1881年)の歴史ある日本有数の眼科専門病院のトップとして、日々最善の治療の提供に力を注ぐ。また、系列のお茶の水・井上眼科クリニックでは UD(ユニバーサルデザイン)を導入し、多くの人が使いやすい施設づくりを目指すかたわら、ライフワークとしてUDの普及に精力的に取り組んでいる。
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