「薬膳」と聞くと、食材選びや調理が難しいイメージがあるかもしれないが、実はいつもの食事に「ちょい足し」して簡単に取り入れることができる。漢方薬局を45年間経営した中医学のエキスパート・川手鮎子さんによる、『心も体ももっと、ととのう 薬膳の食卓365日』(自由国民社)が、2023年11月2日に発売された。
本書によると、薬膳とは「今の自分の体調に合わせて食材を選んで調理する料理」。たとえば、今日は寒くて風邪をひきそうだから......と、いつものスープに生姜を入れれば、それも立派な薬膳だ。
川手さんは、いつもの家庭料理やスーパーなどのできあいの料理に、他の食材を足したり、差し替えたりして作る「ちょい足し薬膳」を提案。本書では365日のカレンダー式で、その時季におすすめの「ちょい足し薬膳」を紹介している。12月21日始まりなので、今のうちに読み始めれば、体調を崩しやすい冬に備えられる。
内容を一部紹介しよう。フルーツにも、薬膳になる食材がある。その一例がオレンジとみかんだ。オレンジは、胃の機能を整えて食欲を促す効能や、ビタミンCで疲れをとる効果があるそう。ただし体を冷やす食材なので、冷え症の人はとりすぎに注意だ。
みかんは皮が「陳皮」と呼ばれ、漢方薬に配合されている。お腹の張りや吐き気を改善し、痰を解消する効能があるそうだ。本文中では、自家製の陳皮の作り方が紹介されている。また、みかんはオレンジと違って体を温めてくれる。
おせちとして食べられる黒豆も、薬膳の一つだ。漢方薬の材料としても使われている。血行を良くする、むくみをとる、胃腸の働きを良くするなどの効能があるという。今年で81歳の川手さんは、老化予防のために、甘さ控えめに煮た黒豆を毎日スプーン3杯くらいずつ食べているそうだ。
他にも、マグロや枝豆、パクチーなど、意外な食材の効能を解説。さらに、シミ・クマ・シワ、生理痛やストレスなど、日頃の悩みに中医学の視点からアドバイスするページもある。日々の暮らしの中で自分の体調を大切にする知恵が詰まった一冊だ。
■川手鮎子さんプロフィール
かわて・あゆこ/漢方薬局を45年経営、西洋医学の薬剤師の資格ももつ中医学のエキスパート。薬剤師・国際中医師(世界中医薬学会連合会認定)・生活習慣病指導士(日本ホリスティック医学協会認定)。
1942年生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、製薬会社開発部に勤務。昭和48年エーケー有馬薬局を開設し、その後45年間漢方相談等に従事。国際中医師の資格も取得し、ホリスティック医学協会に所属して呼吸法やアロマ、カウンセリングなど、多くの代替療法も学んだ経験をふまえ、和洋両面から心身の不調を解消する。地域への貢献も長く、主な受賞歴に、神奈川県保険功労賞受賞、川崎市保険功労賞受賞、学校薬剤師30年勤務表彰等がある。
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