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Fラン大卒アラフォー「底辺」駐在員。アメリカで生きづらさから解放された話

Yukako

Yukako

底辺駐在員がアメリカで学んだ ギリギリ消耗しない生き方

「荒波でも力を抜けば溺れない」

 30歳まで「どん底ニート」だったものの、異国の地で駐在員になって生きづらさから解放されたというUS生活&旅行さん。

 アメリカの暮らしや旅の様子を投稿しているYouTubeチャンネル「US生活&旅行」は、素朴で淡々とした語り口がいい味を出していて、「なんかじわる」「素性が気になる」と話題に。チャンネル登録者数は10万人を超え(2023年10月時点)、注目度が急上昇している。

 このたび、US生活&旅行さん初の著書『底辺駐在員がアメリカで学んだ ギリギリ消耗しない生き方』(KADOKAWA)が刊行された。「どん底ニート」からアメリカ駐在員になるまで、異国での暮らしのリアル、紆余曲折を経てつかんだ「底辺でも自分らしく生きられる」コツをつづっている。

『底辺駐在員がアメリカで学んだ ギリギリ消耗しない生き方』US生活&旅行 著(KADOKAWA)
『底辺駐在員がアメリカで学んだ ギリギリ消耗しない生き方』US生活&旅行 著(KADOKAWA)
「働くって何だろう?」「生きるって何だろう?」と、自問自答しながら執筆したそうだ。
「働くって何だろう?」「生きるって何だろう?」と、自問自答しながら執筆したそうだ。

私は「底辺の駐在員」

 US生活&旅行さんは37歳、在米10年目。フロリダ州、カリフォルニア州、ニューヨーク州を転々とし、現在はネバダ州に住んでいる。本書のタイトルをはじめ、「底辺」というワードがたびたび出てくるのが気になったが、次のように自己紹介している。

「日本では『海外に住む駐在員=優秀な人物』的な考えをしがちでございますが、私の場合は高学歴ではなく、最近の言葉でいう『Fラン大学』卒であり、米国では低賃金で知られる旅行業界に身を置き、会社から独立する勇気や経営する能力も持ち合わせていない『底辺の駐在員』でございます。」

「~でございます」が特徴的だ。動画や文章から、とても控えめな印象を受けた。一体どんなふうにしてアメリカ駐在員兼YouTuberになったのか、気になる。ここでは、US生活&旅行さんの「どん底」時代を少しのぞいてみよう。

20代でボーダーラインを経験

 やりたいことが見つからないまま大学を卒業し、一般企業の営業職についた。何となく入った会社で、人と話すことが苦手なのに外回りに行き、成績は上がらず、上司に怒られる日々。当時は東京で一人暮らしをしていたが、不健康極まりない生活を送っていた。当時の「ダメ社員」「ダメ人間」ぶりを思うと、自分で自分を「ぶん殴ってやりたいくらい」だという。

 荒んだ生活を続けていると、体がだるくて会社に行くのが億劫になった。「3年は同じ会社にいたほうがいい」という言葉が頭をよぎったが、結局、新卒で入った会社を2年で辞めた。そこからフリーターともニートとも言える生活が続き、次に正社員の職につくまでに6年かかったそうだ。

「自分でボーダーラインを経験したから痛感いたしますが、社会とつながっていられるか、引きこもってしまうかの境目は、本当に紙一重。こうして仕事ができるようになったのは、ある出来事が起き、自分の人生を反省したからでございます。」

アクションを起こす

 自堕落な生活を送っていたある日、体が突然動かなくなった。検査の結果、病気が判明。治療を受けながら、季節労働者となって働くことに。体調がよくなってきた28歳頃、何かアクションを起こして状況を変えなくては、と考えはじめる。

 中途就職、資格取得、投資......。そこでUS生活&旅行さんが行き着いたのは、「現状から抜け出すために英語を習得する」こと。自分の甘い性格に鑑みて、強制的に英語を利用せざるを得ない環境に身を置くべきと考え、フロリダに語学留学することにしたのだった――。

 自信がなさそうでいて、あるとき大胆な行動に出る。このギャップがいい。ラスベガスに引っ越した際の動画を観ると、アパートを借りるところから、中古車を買い、生活に必要な家具や家電を揃えるまで、何でも一人で淡々とこなしていて、たくましささえ感じさせる。

 あえて厳しめの環境に身を置き、ほどよく力を抜きながらもコツコツがんばっているUS生活&旅行さんの姿は、好感が持てるし尊敬する。人生の紆余曲折も、立て直し方も、いろいろ。生きづらさから解放される一つの方法として、荒療治という選択もありかもしれない。


■目次
はじめに
第1章 どん底ニート、実家で病を患う
・ギリギリ20代のフリーターが駆け込みでフロリダへ語学留学をした話
・「何かを始めるのに遅いということはない」が、お金は必要だった話 ほか
第2章 ゼロスキルでもアメリカ移住、キラキラのないNY生活
・英語の仕事も旅行業界も未経験でテンパりまくりの30歳インターン
・インターンからまさかの正社員に 人生の新しい扉が、ふと開くとき ほか
第3章 コロナ禍でクビに! 結局なんとかなった
・先の見えないときこそ これまでの運に感謝する
・一度はクビになったけれど、なんとかなった。復職してラスベガス ほか
第4章 アメリカで学んだ節約暮らし
・アメリカの賃貸住宅は安いほどスリリング
・差別があっても多様性を認める米国は面白い ほか
第5章 ラスベガスで在宅勤務、YouTuber になる
・鳴かず飛ばずで1年が過ぎ バズった動画は280万回視聴に!
・心を広げるために、地平線と水平線、海岸線を見に行く ほか
第6章 ギリギリ消耗しない生き方
・同調圧力のない環境を選んで人間関係による消耗を減らす
・生きていくのはツラいこと でも今よりどん底を知っている ほか
COLUMN
1 渡米にかかった費用
2 キラキラのないN.Y.生活
3 これまで住んだ部屋の間取り図
4 エクセルでお金管理 米国式財テク
5 例のディナー
6 ギリギリ消耗しない5か条
おわりに


■US生活&旅行のギリギリ消耗しない5か条
1 人目を気にしない
2 運に感謝する
3 目標を持たない
4 結果に期待しない
5 健康が一番大切

「ギリギリ消耗しない5か条」
「ギリギリ消耗しない5か条」
著者のUS生活&旅行さん
著者のUS生活&旅行さん

■US生活&旅行さんプロフィール
ゆーえすせいかつあんどりょこう/在米10年目のアラフォー駐在員。フロリダ州、ネバダ州、カリフォルニア州、ニューヨーク州を転々とし、コロナ禍でリストラを経験。失業時にYouTubeチャンネル「US生活&旅行」がブレイク。マイルを使って飛行機のファーストクラスに搭乗した様子の動画は280万回再生を突破(2023年10月時点)。


※画像提供:KADOKAWA

 
  • 書名 底辺駐在員がアメリカで学んだ ギリギリ消耗しない生き方
  • 監修・編集・著者名US生活&旅行 著
  • 出版社名KADOKAWA
  • 出版年月日2023年10月26日
  • 定価1,650円(税込)
  • 判型・ページ数四六変形判・208ページ
  • ISBN9784046064424

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