2023年10月25日、人気古典エッセイスト・大塚ひかりさんの新著『嫉妬と階級の『源氏物語』』(新潮社)が発売された。
2024年の大河ドラマ『光る君へ』にも登場する紫式部は、上流貴族から祖父の代に零落し、夫も早くに亡くし、藤原道長の「お手つき」となり、その娘の家庭教師に甘んじたとされる。そんな「落ちぶれ感」を抱えた彼女が「もうひとつの人生」を求めて書きはじめた物語には、階級社会に渦巻く激しい嫉妬が描かれているという。
紫式部は、なぜ『源氏物語』を書いたのか。いじめ、セクハラ、親の過度な期待など、生きにくさにあふれた階級社会を生き抜くために、どうしたら良いと考えたのか。源氏物語に秘められた紫式部のメッセージを、嫉妬と階級に着目して読みとく刺激的なエッセイだ。
本書には、『ミライの源氏物語』(淡交社)でドゥマゴ文学賞を受賞した作家・山崎ナオコーラさんも「背筋がゾゾゾッとする。人間って嫌だなあ、という気持ちにもなってくる。しかし、やっぱり、嫉妬は面白い。大塚さん独特の、容赦ない、直球の言葉運びがあり、それでいてユーモアがそこかしこにあふれていて、怖いなあ、と思いつつ、笑ってしまう」と推薦コメントを寄せている。
■大塚ひかりさんプロフィール
おおつか・ひかり/1961年横浜市生まれ。古典エッセイスト。早稲田大学第一文学部日本史学専攻。『ブス論』、個人全訳『源氏物語』全六巻(以上、ちくま文庫)、『本当はエロかった昔の日本』(新潮文庫)、『女系図でみる驚きの日本史』『女系図でみる日本騒乱史』『毒親の日本史』(以上、新潮新書)、『くそじじいとくそばばあの日本史』(ポプラ新書)、『ジェンダーレスの日本史』 (中公新書ラクレ)など著書多数。趣味は年表作りと系図作り。
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