突然だが、あなたは以下の動作ができるだろうか。
（1）イスに浅く座ったら背すじを伸ばし、両腕をまっすぐ上へ。両腕を上げたまま上半身を45°前傾する。
（2）腕の位置を変えないようにしながら、立ち上がる。
背中が丸くなってしまう、腕が頭よりも前に出てしまうなど、動作に失敗したら、将来寝たきりになる可能性が高いかもしれない。
フィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一さんによる『寝たきりにならない体の使い方』（Gakken）では、将来寝たきりにならないための体の使い方やストレッチ、生活習慣を解説している。
本書冒頭の「寝たきり予備軍チェック」では、「オーバーヘッドスクワット」のほか、以下の4つの動作が載っている。
・片脚立ちで靴下をはく「バランス靴下はき」
・片ひざ立ちからまっすぐ立ち上がる「卍（まんじ）スタンドアップ」
・仰向けになって斜めに脚を上げてキープする「すべり台」
・お腹を動かさずに呼吸する「肛門締め＆胸式呼吸」
全部できそうだろうか？ 1つでもできないものがあったら要注意だそうだ。
もしできない動作があっても大丈夫。本書は、座り方、立ち方、歩き方など、日常の中でできる寝たきり予防を紹介している。一部を見てみよう。
■寝たきりにならないためのソファの座り方
（1）ソファの中央に座り、背もたれに寄りかかる。左ひざを伸ばす。
（2）左脚と入れ替えるようにして、今度は右ひざを伸ばす。（1）（2）を交互にリズミカルに行う。
■寝たきりにならないためのデスクワークの仕方
（1）イスに浅く座り、両脚を前に出す。かかとは床に着けたまま、右足のつま先をできるだけ高く上げ足首を曲げる。
（2）関節をできるだけ大きく動かすことを意識して、足首を左右交互にリズミカルに曲げ伸ばしする。
■寝たきりにならないための階段の上り方
（1）手すりを持ち左足をひとつ上の段に前足部だけがのるようにする（かかとは階段の外）。母趾球に体重をのせることを意識。
（2）お尻の筋肉をキュッと締めながら、左足の母趾球に体重をのせる。同時に右足のかかとを少し上げる。右足も同様に行い、（1）、（2）の繰り返しで階段を上っていく。
■寝たきりにならないためのバッグの持ち方
（1）体の後ろ側にバッグをまわし、両手で持つ。
（2）背中の上部にある肩甲骨を中央に寄せて胸を張り、体重はかかとにのせる。お腹が前に出ないように腹筋をぐっと締める。信号待ちなどの間、この姿勢をキープ。
本書ではこのほか、寝たきりを防ぐ6つの筋肉のストレッチや、いつまでも健康な体でいられる食生活を紹介している。
寝たきりにならないために重要なのは、筋肉を増やすこと。著者の中野さんの祖母は90代から筋トレを始め、なんと100歳を超えてからも片脚スクワットができる体を作ったそうだ。本書を参考に、一生自力で歩ける体を目指してみては。
【目次】
はじめに これ、できますか？（寝たきり予備軍チェック）
第1章 何歳からでも遅くない！ 「寝たきり」になるかならないかは自分次第
第2章 いつもの動作にひと工夫で変わる！ 「寝たきり」にならない体の使い方
第3章 これだけはやっておきたい！ 「寝たきり」にならないストレッチ
第4章 粗食、少食は健康長寿の大敵！ 栄養不足が「寝たきり」を招く
第5章 認知症予防の新事実！ 「脳の衰え」はウォーキングで防げる
■中野ジェームズ修一さんプロフィール
なかの・じぇーむず・しゅういち／フィジカルトレーナー、米国スポーツ医学会認定運動生理学士、(株)スポーツモチベーション取締役、東京神楽坂会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」最高技術責任者、フィジカルトレーナー協会（PTI）代表理事。
1971年生まれ。フィジカルを強化することで、競技力向上や怪我の予防、ロコモティブシンドローム・生活習慣病対策などを実現する「フィジカルトレーナー」の第一人者。早くからモチベーションの大切さに着目し、日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナーとして、多くのトップアスリートから一般の中高年者まで幅広く指導している。2014年からは青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化も担当。著書・講演多数。
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