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更年期の母・思春期の娘。「人生の二大ピンチ」に良い関係性を築くには

娘と話す、からだ・こころ・性のこと

「彼氏ができた娘に、何を話せばいい?」「登校をしぶる娘と女性ホルモンの関係って?」

 産婦人科医・高尾美穂さん初の性教育本『娘と話す、からだ・こころ・性のこと』(朝日新聞出版)が9月20日に刊行された。

 出産年齢の上昇により、母親の更年期と娘の思春期が重なる家庭が増えている。高尾さんは更年期外来を訪れる母親から思春期の娘に関する相談を受けることが多く、心身ともに不安定な状態でコミュニケーションをとることの難しさを、日々実感しているという。

 大切な「からだ・こころ・性のこと」を、母と娘が語り合えるように。そんな思いを込めて、「おたがいの理解が深まる。認めあえる。」ための知識や話し方をまとめている。

『娘と話す、からだ・こころ・性のこと』高尾美穂 著(朝日新聞出版)
『娘と話す、からだ・こころ・性のこと』高尾美穂 著(朝日新聞出版)

近しい関係だからこそ

「初潮が来ない」「月経周期が不安定」「彼氏ができたようだけど大丈夫かな」「学校に行くのを嫌がる」「いじめにあっているようだ」など、娘に対する心配はつきない。ただ、「まず、娘とどう話せばいいのか」と悩んでいる母親は多いという。

 母は更年期、娘は思春期、という「女性の人生の二大ピンチ」を迎えていることに加えて、そもそも近しい同性同士だからこその難しさもあるようで......。

「母が娘を思う気持ちは自然なものです。しかしその気持ちが屈折したかたちで娘に届いてしまうことで、関係性が望んでいないほうへ変化してしまうケースもあります。母を拒否していると感じられた娘からの言葉は、母への素直な気持ちではなかったりもする。近いからこそ、ねじれた気持ちをぶつけ合っていることもあるように感じます。」
(「はじめに」より)

伝えにくいけど伝えるべきこと

 母親が10代だった時代と、10代の娘が生きる現代では、生理痛のとらえ方から、生理用品の選択肢、予防や治療の方法、ジェンダー意識まで、大きく変化した。母親自身、娘になにからどう伝えたらいいのかよくわからないし、「からだ・こころ・性のこと」はどうしても慎重にならざるをえない。

 本書では、高尾さんがじっくりやさしく、「伝えにくいけど伝えるべきこと」の伝え方を提案している。本書は「性教育本」といっても、母から娘に「教える」ためのものではなく、「女性」の心身のあれこれについて、母と娘が「話す」「伝える」「相手の状態を想像する」ためのものになっている。

「母にももともと娘だったころがあり、娘もいずれ母になることがあります。お互いが、ひと世代分年齢が違う女性同士だからこそ、世代を超えて知っておくと良いこと、知っておくことでお互いの関係性が良くなることを、いろんな世代の、いろんな立場のみなさんへお届けできたらと願っています。」
(「はじめに」より)

 人生のどんな局面であっても、そのときそのときでわが子と良い関係性を築いていきたいもの。そのヒントがきっと見つかる、娘との関係で悩んだときに頼りたい1冊だ。


■目次
Chapter.1 女性の二大ピンチ到来! このチャンスに話そうよ。
Chapter.2 知らないうちに働いてくれている? 女性ホルモンの"ふるまい"を観察!
Chapter.3 20年前とは劇的に変化。「生理について」をアップデートしなきゃ。
Chapter.4 お母さんには言いづらい。でも、気づいてほしい。
Chapter.5 人生を、まず自分で守るために。セックスとHPVを語り合おう。
Chapter.6 そもそも、子どもを産むって、どんなこと?
Chapter.7 どうして私、女の子に生まれちゃったの?
Chapter.8 母も娘も"私の人生"を歩いていこう。
付録 女性の人生年表Q&A:それぞれの年代で起こりうること、気をつけたいこと


■収録内容(抜粋)
初潮を迎えるあなたと、からだで起きていることを話そう
生理不順や無月経でもあわてないで
みんなが気になる女性ホルモンの疑問
おっぱいがふくらみ始めたら、ちょっとあせって!
生理用品についての誤解はありませんか?
ピルを使っていい年齢、おすすめできない年齢
「学校に行きたくない」それ、ホルモンバランスの影響では?
「もっとかわいく生んでほしかった」と言われたら
直球質問が来た! 「赤ちゃんはどこからくるの?」
セックスについて科学的に伝える
幼い娘を性被害からどう守るか
避妊について。中学生の娘へのアプローチ
一緒に学んでほしい、HPVワクチンの今
妊娠成立にまつわる、誰も教えてくれない三つのこと
赤ちゃんを産んでからのお母さんのからだ
不妊治療について、考えていること
男性にも知ってほしい、女性の生来の不安 ほか

著者の高尾美穂さん(朝日新聞出版写真映像部 東川哲也)
著者の高尾美穂さん(朝日新聞出版写真映像部 東川哲也)

■高尾美穂さんプロフィール
たかお・みほ/医学博士・産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。日本医師会認定産業医。イーク表参道副院長。ヨガ指導者。婦人科の診療を通して、さまざまな世代の女性の健康をサポートし、ライフステージに沿った治療法を提案。その過程で、患者の悩みや困りごと、さらには娘の心身についての悩みの相談を聞くことも。テレビや雑誌などメディアへの出演、連載、SNSでの発信のほか、アプリstand.fmで、再生回数1100万回を超える人気音声番組『高尾美穂からのリアルボイス』を毎日配信中。とくに、更年期の専門家として、女性たちの支持は非常に高い。著書は『いちばん親切な更年期の教科書 閉経完全マニュアル』(世界文化社)、『心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには』(日経BP)、『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)、『オトナ女子をラクにする心とからだの本』『人生たいていのことはどうにかなる あなたをご機嫌にする78の言葉』(以上、扶桑社)など多数。


※画像提供:朝日新聞出版

 
  • 書名 娘と話す、からだ・こころ・性のこと
  • 監修・編集・著者名高尾 美穂 著
  • 出版社名朝日新聞出版
  • 出版年月日2023年9月20日
  • 定価1,760円(税込)
  • 判型・ページ数四六判・256ページ
  • ISBN9784023322929

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