『生き物の死にざま』(草思社)、『はずれ者が進化をつくる』(筑摩書房)など、著書の多くが入試に使用され、「国私立中学入試・国語 最頻出作者」連続1位(日能研調べ)を獲得している静岡大学農学部教授・稲垣栄洋さんが、初めて自身を題材にしてエッセイを書いた。
大学で受け持っている「雑草学研究室」の学生たちとの日々をつづった、『雑草学研究室の踏まれたら立ち上がらない面々』(小学館)が、2023年9月14日に発売された。
研究室には、「キャラクターの『ちいかわ』が好き」「スマホ依存症」「指示待ち型」など、まさに「Z世代あるある」な学生たちがたくさん。頑張り屋すぎる、細かすぎるなど、ちょっと不器用だけどまじめで実直な人が集まってくるという。そんな学生たちが、稲垣さんとともに雑草と向き合う中で、それぞれ大切なことに気づいていく。
雑草といえば「踏まれても立ち上がる」というイメージだが、稲垣さんいわく、むしろ「立ち上がらない」ものなのだそう。
「雑草にとって大切なことはタネを残すこと。だとしたら、踏まれても立ち上がるって、ムダなエネルギーを使っていると思わない?」(稲垣さん・本書より)
稲垣さんは「雑草に生き方を教えられた」と語る。"アンチ雑草魂"なエピソードを通して、本当の雑草マインドを学べる一冊。
《もくじ》
ヒメタカサゴユリのど根性
──ちいかわな女子学生、新品種を作る
エノコログサ(ネコジャラシ)と職人気質
──細部ばかり見てしまう学生
先生! 種子の表面がお風呂の床です
──細部ばかり見て得た大発見
コミカンソウの苦い思い出
──名も無き草だからこそ観察したくなる
図鑑どおりに生えてこない!
──スマホ依存の学生の目覚め
学校の田んぼで凜と立つタイヌビエ
──校庭の雑草が伝えるもの
四つ葉のクローバーは立ち上がらない
──頑張り屋の学生は「頑張らない」を頑張る
なぜナス科には「イタドリが良い」のか?
──天空の里の謎を解く
ナスとトマトとジャガイモと
──2人の女子学生が謎を解いた!
コマツヨイグサと指示待ち学生
──あえて自主性は求めない戦略
ムシトリナデシコと真実を見抜く力
──指示待ち型学生が選んだ驚きの就職先
ケシ科ケシ属の輝く場所
──まじめで実直、は強みになる
■稲垣栄洋さんプロフィール
いながき・ひでひろ/静岡大学農学部教授。静岡県出身。岡山大学大学院農学研究科修了。博士(農学)。農林水産省、静岡県農林技術研究所等での勤務を経て現職。『面白くて眠れなくなる植物学』(PHP文庫)、『生き物の死にざま』(草思社文庫)、『はずれ者が進化をつくる』(ちくまプリマー新書)、『大事なことは植物が教えてくれる』(マガジンハウス)、『子どもと楽しむ草花のひみつ』(エクスナレッジ)、『面白すぎて時間を忘れる雑草のふしぎ』(王様文庫)、『植物に死はあるのか』(SB新書)など、著書は150冊以上にのぼる。「国私立中学入試・国語 最頻出作者」1位に連続(日能研調べ)してなるなど小中学生にも愛読者が多い。
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