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朝、鏡を見たら浮世絵に? 「#名画で学ぶ主婦業」傑作選

#名画で学ぶ主婦業 傑作選プラス

 主婦のぼやきを絵画にのせて投稿する、SNSで大人気のハッシュタグ「#名画で学ぶ主婦業」。2023年8月9日、過去二度の書籍化作品から選りすぐった投稿に新しく11点を加えた『#名画で学ぶ主婦業 傑作選プラス』(宝島社)が発売された。

『#名画で学ぶ主婦業 傑作選プラス』(宝島社)
『#名画で学ぶ主婦業 傑作選プラス』(宝島社)

 キレキレの傑作投稿を70作品収録。各絵画は美術史家の田中久美子さんの解説つきで、笑いながら勉強にもなる。収録作品を一部見てみよう。

喉に詰まらないから安心! と思ったら

 誰もが一度は目にしたことがある、19世紀フランスの画家・ミレーの代表作〈落穂拾い〉。主婦の目を通して見ると......。

〈落穂拾い〉ジャン=フランソワ・ミレー/1857年/オルセー美術館
〈落穂拾い〉ジャン=フランソワ・ミレー/1857年/オルセー美術館
もう2度とベビースター食わせない

 目を離した隙に子どもが食べこぼして、ラグの毛の隙間から永遠に出てくる......。貧者の労働をモチーフに「人間の原点」を描いた作品と評価されているが、子どもの食べこぼしを拾う主婦の姿もまた、「人間の原点」の一つかもしれない。

これはイラッとくる

 ゴッホが描いた肖像画も、主婦の目線で解釈するとこんな表情に。

《医師ガシェの肖像》フィンセント・ファン・ゴッホ/1890年/オルセー美術館
《医師ガシェの肖像》フィンセント・ファン・ゴッホ/1890年/オルセー美術館
夫の食器洗いの後、汚れ残りをやんわり指摘したらこの顔

 やってくれるのは嬉しいけど、こっちは二度手間になるっていうのに......。何とも言えない表情を浮かべているこの人物は、ゴッホの友人であった精神科医のポール・ガシェ。あえて不機嫌な表情をさせて「近代的知識人の憂鬱」を描いたのだという。

外出る前に鏡見てよかった

 新たに収録された11点には、日本の名画も。重要文化財に指定されているこの浮世絵が、主婦の日常のワンシーンだったら......。

《三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛》東洲斎写楽/1794年/重要文化財
《三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛》東洲斎写楽/1794年/重要文化財
(朝起きて)ん?
目の周り、なんかペンで塗られてない?

 描かれているのは、『恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな)』という演目の悪役・江戸兵衛。主婦のみなさん、朝起きて、子どもの落書きで顔が歌舞伎役者みたいになっていたことはないだろうか。頼む、水性であってくれ!

 このほか、奇想天外な子どもたち、頼もしい夫に情けない夫、義父母や宅配便も登場。「あるある!」と笑って日々の疲れを癒せる一冊だ。

【目次】
第1章 天使との終わらない遊び|子ども編
第2章 無償の愛よ、永遠なれ|家族編
第3章 家族という名の十字架|家事編
第4章 主婦(ヴィーナス)は美を追求する|美容編
第5章 日々は波乱に満ちて|日常編
第6章 蘇りし主婦たちの叫び|新規収録編


■田中久美子さんプロフィール
たなか・くみこ/東京藝術大学美術学部美術学科卒業、オレゴン州立大学美術史学科修士課程修了、東京藝術大学大学院美術研究科芸術学専攻修士課程修了、同・博士課程後期を単位取得満期退学。多くの大学での非常勤講師を経て、現在は、文星芸術大学の副学長を務めている。また、跡見学園女子大学で非常勤講師を務める。専門は、フランス中世・近世美術史。共著に『レオナルド・ダ・ヴィンチの世界』(東京堂出版)、『英語でめぐる世界の美術館 ルーヴル美術館』(ジャパンタイムズ)など。翻訳に『ナショナル・ギャラリー・ポケット・ガイド「聖人」』『周縁のイメージ』(ともにありな書房)ほか多数。また、『別冊宝島1827 西洋美術で読み解くキリスト教』『#名画で学ぶ主婦業』(ともに、宝島社)、『入門キリスト教』(洋泉社)、『地獄百景』(ベストセラーズ)などを監修。著書に『フォンテーヌブローの饗宴』(ありな書房)、編著に『黙示録の美術』(竹林舎)などがある。


※画像提供:宝島社


    
  • 書名 #名画で学ぶ主婦業 傑作選プラス
  • 監修・編集・著者名田中 久美子 監修
  • 出版社名宝島社
  • 出版年月日2023年8月 9日
  • 定価1,430円(税込)
  • 判型・ページ数A5判・160ページ
  • ISBN9784299046345

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