40~50代になり、今やろうとしていたことを忘れてしまう、表現したい言葉がすぐに出てこない、ちょっとしたことで気分が落ち込むといったことが増えたと感じていないだろうか。それは認知症の「ステップ0(ゼロ)」である可能性も。
様々な認知症対策があるが、脳の若さをキープするには、日々の生活習慣がカギとなる。今回は誰でも取り組むことができる「食」の面での認知症予防を紹介する。
2023年7月27日『認知症専門医が見つけた! 脳の寿命をのばす食べ方』(Gakken)が発売された。
認知症予防には、腸が喜ぶ食事がポイントだ。
ストレスでおなかが痛くなる、旅行先で便秘になるなど、脳と腸は互いに影響し合っている。著者の最新研究によると、認知症の人は、ある腸内細菌が多いことがわかっている。つまり、認知症になりにくい腸内環境を目指すことも可能なのだ。
おすすめの食べ方は、イマドキ和食+コーヒー。魚介類、きのこ類、豆類・大豆製品、コーヒー・緑茶が認知機能のキープに役立つ食材だという。
これら4つの食材にコーヒーを足している人は、なんと認知症発症率が1/3だという。また、コーヒーを1日にまったく飲まない人と比べ、カップ3杯飲む人では認知症リスクが半減するという研究も。
本書では、認知症予防食材を使ったつくりおきレシピも公開している。時間のあるときにまとめて作っておくと便利だ。
さらに、認知症になりにくい腸の条件を解説。ビフィズス菌が多い状態であることも認知症予防に効果があるという。
食事以外にも大切な、認知症予防の生活習慣も紹介。絶対に認知症にならないという予防策はないが、リスクを下げるために今からできることはある。12の危険因子を排除すれば、世界の認知症の40%を防ぐことが理論的に可能であるという報告も。
その12の因子とは、教育不足、難聴、外傷性脳損傷、高血圧、肥満、飲酒、喫煙、うつ、社会的孤立、運動不足、大気汚染、糖尿病。年代によって危険リスクの比率は変わり、中年期(45~65歳)では、認知症リスクのトップは難聴だ。聞こえにくさを感じたら、耳鼻科を受診する、補聴器を使用するなどの対策をすることで、認知症リスクを減らすことができるという。
すべての危険因子に対策をとるのは難しいが、どんなことがリスクになるのかを知っておくことが第一歩。手始めに、認知症予防を意識した食事を心がけてみてはいかがだろうか。腸内環境が良くなるので、全身の健康維持にもよさそうだ。
■佐治直樹さんプロフィール
さじ・なおき/国立長寿医療研究センター・もの忘れセンター副センター長。兵庫県立姫路循環器病センター神経内科医長、川崎医科大学脳卒中医学特任准教授などを経て現職。外来では認知症などの診療にあたり、認知症のリスク因子と予防、腸内フローラなどと関係論文多数。雑誌や講演会などでも認知症を予防する食事の指導を行っている。
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