外出時はメイクを欠かさず、足が痛くてもスタイルがよく見えるハイヒールを履き、何よりファッションは「年相応」に見えなければならない。仕事も家事も手を抜かず、削れるのは睡眠時間だけ――。
女性として、社会人として求められるマナーを守り、「完璧な姿」をめざすことに疲れてしまったら、ドイツの女性の生き方を参考にすると、気持ちが楽になるかもしれない。
2023年7月18日『ドイツの女性はヒールを履かない』(自由国民社)が発売された。
著者はドイツ人の父と日本人の母を持つエッセイスト、サンドラ・ヘフェリンさん。今年で日本在住25年になるが、23歳まではドイツで過ごしていた。
そんなヘフェリンさんの目には、日本の女性は「がんばりすぎ」に映るという。本書では、ドイツ人の価値観や日々の過ごし方を紹介している。
たとえば、ドイツ人は「散歩」と「新鮮な空気」をこよなく愛する。とにかく歩くことが好きなので、靴選びはおしゃれより機能性重視。「電化製品を選ぶような慎重さで靴を選ぶ」という。オフィス街でもぺたんこ靴で歩いている女性を多く見かけるが、さっそうと歩く姿はかっこいい。もちろんハイヒールを履きこなす女性もかっこいいけれど、痛みをこらえて心の中で泣きながら歩くより、ぺたんこ靴で姿勢よく歩くほうが、健康的ではある。
本書では他にも、「小学校に入学するタイミングが人それぞれなので、〇歳までにこうしなくては...という感覚があまりない」「自分の時間を大切にしたいから家事は外注する」など、ドイツならではの価値観を紹介していく。
さらに、料理研究家でドイツにもルーツを持つ門倉多仁亜さんへのインタビューや、都内でおいしいドイツ料理やドイツパンが食べられるおすすめスポットも掲載。
毎日「こうしなくては」に追われている日本人にとってはうらやましく感じることも。ただ、ヘフェリンさんは「ドイツのほうがいいからマネしなさい」と言っているわけではない。ドイツにはドイツの事情があることも詳しく書かれていて興味深い。自分の中にある固定観念を疑い、無理やガマン、ストレスから解放されるヒントになる一冊。
■サンドラ・ヘフェリンさんプロフィール
エッセイスト。ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住25年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。著書に『体育会系 日本を蝕む病』(光文社新書)、『なぜ外国人女性は前髪を作らないのか』(中央公論新社)、『ほんとうの多様性についての話をしよう』(旬報社)などがある。
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