家族がドアのノブを開ける「ガチャッ」という音や、閉める時の「バタン」という音。それほど大きな音を立てているわけでもないのに、音が直接脳に刺さってくるように感じたことはないだろうか。
もしかしたらそれは、「うつ」の症状かもしれない。
「こころの病」や「ひたすら悲しんで泣いている」というイメージの強い「うつ」。実際には、身体症状も多いということをご存じだろうか。
身近な疾患として知られるうつだが、どのような症状が出るのかはなかなか想像しにくい。このたび、困っている周りの人の感覚を理解するための1冊が登場した。
2023年6月23日『マンガでわかる!うつの人が見ている世界』(文響社)が発売された。
本書では100人以上の当事者と家族への取材からわかった「うつ症状(一部双極症の躁状態を含む)」を、19のエピソードを通してマンガで解説していく。たとえば次のような症状があったら、実は「うつ」かもしれない。
・【岩のような倦怠感】身体が岩のように重くなり、起き上がることができない
・【おわんの感覚】頭に大きなおわんをかぶったように、ぼーっとして、現実感がない
・【音と光の矢】周囲の出す音や光が、矢のように脳に刺さって痛い
・【思考の迷路】頭の中で文字が迷路のように散らばり、文章が読めない・書けない
・【絶望感の波】予測不能で抵抗不可能な絶望感が大波のように襲ってくる
・【ぐるぐる思考】止めたくても止められないネガティブな思考のループ
・【希死念慮】無意識に「死」の存在が大きくなり、引き寄せられる
「どのように苦しいのか」を的確に代弁してくれるエピソードが多いので、うつの人の世界を深く知ることができる。
後半では、うつの人が周りにかけてもらって嬉しかった言葉や、逆に負担となった事例を紹介している。たとえば、「何かしてほしいこと、ある?」は「魔法の言葉」として紹介されている。逆に、「この先のことどう考えてるの?」という言葉は、最悪の事態を招く可能性があるNGワードだ。
今や他人事ではないうつの症状。うつの世界を知ることは、周りの人を助けるきっかけになるのはもちろん、自分の心の乱れにも気づきやすい。早めに対処するためにも、「うつになると世界がどう見えるのか」を知っておきたい。
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