万年筆のインクを楽しむためには、インクの特性や使う道具の基本を知っておくことが大切だ。
2023年6月23日、代官山蔦屋書店文具コンシェルジュ・佐久間和子さんが万年筆で描くイラストを見本にした『イラストで楽しむ万年筆のインク見本帖』(玄光社)が発売される。今回は、その中から、万年筆インクの選び方について紹介する。
万年筆インクは、おもに3種類に分けられる。1つ目は染料インク。色の濃淡が出やすく、カラーバリエーションが豊富。さまざまなニュアンスを表現できるため、イラストを描くのにも向いている。水に濡らせば溶けるので、万年筆のメンテナンスもしやすい。
2つ目は顔料インク。耐水性、耐光性があり、書いた文字をしっかり保存したい場合はこのインクがおすすめ。ただし、水に溶けにくい性質のため、使わない期間が長いと乾いたインクで万年筆が詰まりやすくなるので注意が必要だ。
3つ目は古典インク。没食子(もっしょくし)インク、IGインクなど、いくつかの呼び名がある。耐水性、耐久性に優れているため長期保存や公文書に適したインクと言われている。インクに含まれる鉄分が酸化して黒っぽく変化します。酸性のため鉄のペン先を腐食させる危険性があるので注意も必要。
このほか、光の当たり方や見る角度によって反射して見えるフラッシュするインクや、ラメ入りインク、香水のような香りが楽しめる香り付きインクなど、さまざまなインクを紹介している。
大切なのは、それぞれのインクの特徴をつかんで、用途に合ったものを選ぶこと。インクの基礎を学んで、快適な万年筆ライフを送ろう。
■佐久間和子さんプロフィール
さくま・かずこ/女子美術大学を卒業後、フリーのイラストレーターや絵画教室の講師の経験を経て、文具店の仕事に携わるようになる。2011 年より代官山 蔦屋書店にて文具コンシェルジュとして、売り場を訪れる人々の要望に合わせた文具の提案を行っている。2014 年より同店のSNSにて手描きのバースデーカードを毎日投稿し続けている。好きなインクはローラー&クライナーの青騎士とセピア、GVFC のガルフブルー。佐久間露涓の雅号で油彩画家としても活動し、常々「ペン芯のような人間でありたい」と考えている。
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