数々の賞を受賞したウクライナの絵本の日本語版、『旅するわたしたち On the Move』(ブロンズ新社)が2023年5月18日に発売された。
本書は、「移動する」「旅する」「冒険する」......、万物の行動原理である「動く」ことをテーマに、歴史や文化、人類の進化を、美しいビジュアルでたどった壮大なスケールの絵本。新型コロナウィルス感染症が世界中にまん延し、人々の行動が制限された2020年にウクライナで刊行された。
色鮮やかな絵は見応えがあり、シンボライズされたイラストを読みとる楽しさがある。それぞれのイラストには解説が付いており、図鑑のように「知ること」の面白さも感じることができる。子どもだけでなく大人の知的好奇心も刺激する、ビジュアルブックの新境地となる一冊だ。
本書は、刊行翌年の2021年に国際的な絵本賞であるナミコンクールをはじめ、ヨーロッパ・デザイン賞など計5つの賞を受賞し、注目を集めた。今回の日本語版のほかにも、世界14言語での翻訳出版が決まっている(2023年5月時点)。
本編では、進化の過程による移動の歴史や、乗りものの発明による移動手段の変化、探検、戦争、避難、巡礼、観光...などなど、さまざまな目的を持った動物や人間の姿がグラフィカルに描かれている。
また、私たちの知らない、ウクライナならではの知識にも触れることができる。たとえば、「探検」をテーマに古今東西の「探検家」たちに焦点をあてたページでは、コロンブスや三蔵法師といった日本人も良く知る偉人たちと共に、ウクライナの女性旅行家ソフィア・ヤブロンスカや、船で世界を一周した最初の女性であるジャンヌ・バレが紹介されている。
■ロマナ・ロマニーシン(写真右)、アンドリー・レシヴ(写真左)さんプロフィール
絵本作家、アーティスト。共に1984年⽣まれ。ウクライナのリヴィウを拠点に活動する。リヴィウ国⽴美術⼤学を卒業。アートスタジオAgrafka 主宰。2011年、ブラチスラバ世界絵本原画展(BIB)で出版社賞を受賞。邦訳に『戦争が町にやってくる』(⾦原瑞⼈ 訳/ブロンズ新社)、『うるさく、しずかに、ひそひそと ⾳がきこえてくる絵本』、『⽬で⾒てかんじて 世界がみえてくる絵本』(共に、広松由希⼦ 訳/河出書房新社)がある。本書で、韓国の2021年ナミコンクール・グリーンアイランド賞と2021年ヨーロッパ・デザイン賞銀賞を受賞した。
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