2023年4月16日、展覧会「フィンランドのライフスタイル展」の公式図録『フィンランドのライフスタイル』(世界文化社)が発売された。
2023年4月15日から開催中の展覧会「フィンランドのライフスタイル展」は、フィンランドの暮らしから生まれた数々の名作椅子やガラスや器、陶の器などが一堂に会する豪華企画で、フィンランド好き、北欧好きにはたまらないイベント。本書は、その公式図録として出版された1冊だ。編集は展覧会などにまつわる事業全般を手がけるプロ集団「キュレイターズ」だ。
計638点の掲載写真で、森の恵みを活かした数々の名作家具をはじめ、暮らしに温かみをもたらす色とりどりのガラス器、使い勝手のよいシンプルかつ多彩な陶器など、フィンランド・デザインのマスターピースを一望できる。デザイナーごとに記事を構成しているので、初心者でも親しみやすい。
また、SCOPE平井千里馬さん、週末北欧部chikaさんらによるコラムも充実しており、「デザインが生まれた背景」であるフィンランドのライフスタイルについても深く知ることができる。
展覧会のテーマである北欧のライフスタイルとデザインの歴史を代表するのが、本書でも見開きで掲載されている名作椅子「スツール 60」だ。
「スツール 60」とは、北欧モダニズムの巨匠アルヴァ・アアルトがデザインし、1933年のミラノ・トリエンナーレで金賞を受賞した3本脚の椅子のこと。無垢材の板を椅子やテーブルの脚用にL字型に曲げた「L-レッグ」を使い、簡素なデザインを実現。フィンランド・デザインを代表する名作として、誕生から90年経った今も世界中で愛され続けている。その販売数は世界中で数百万脚にも及ぶという。
【CONTENTS】
Section1
タイムレス~時代を超えて
シンプルで機能的、フィンランドのライフスタイルに欠かせないマスターピースたち
●アルヴァ・アアルト Alvar Aalto
アアルトベース/スツール60/アアルトの名作家具たち/アアルト スタジオ
●アイノ・アアルト Aino Aalto
ボルゲブ
リック
●カイ・フランク Kaj Franck
キルタ/「キルタ」から「ティーマ」へ/オードブルディッシ《KF1》
《KF2》/カルティオ/アートキウィ
●サーラ・ホペア Saara Hopea
●ティモ・サルパネヴァ Timo Sarpaneva
i-lineシリーズ
●イルマリ・タピオヴァーラ Ilmari Tapiovaara
ドムス チェア/「ピルッカ」シリーズ/イルマリ・タピオヴァーラの名作家具たち
Arabia,iittalaのヴィンテージ食器たち
Section2
オーガニック~自然とともに
有機的な色とかたち、生活を彩るさまざまなモティーフたち
●タピオ・ヴィルカラ Tapio Wirkkala
ニッケ チェアとテーブル
●ビルゲル・カイピアイネン Birger Kaipiainen
コケティッシュなビーズバード/魅惑のウォール・プレート
●石本藤雄 Fujio Ishimoto
陶の花シリーズ/冬瓜とプレート/マリメッコでデザインしたさまざまなテキスタイル
●オイバ・トイッカ Oiva Toikka
シエッポシリーズ/キーックリ/アニュアルバード/ポムポムベース/キューブ/ロリポップ/プテリ
●ヨルマ・ヴェンノラ Jorma Vennola
●ルート・ブリュック Rut Bryk
Section3
日本におけるフィンランド・デザイン
私たちの暮らしのなかで多様に展開するフィンランド・デザイン
●スコープ SCOPE
フィンランドの名作シリーズを独自の視点で復刻、別注するブランド
スツール60/ピルッカスツール/ティーマ/Runo(ルノ)シリーズ/巨匠オイバ・トイッカとの協働
●カウニステ KAUNISUTE FINLAND
日本人とフィンランド人 二人のクリエイターがたちあげたテキスタイルブランド
カウニステのファブリックコレクション/ハンナ・コノラ/ハンネレ・アイヤラ/ビョーン・ルネ・リー/マッティ・ピックヤムサ/マリカ・マイヤラ/ミロコマチコ
●イワテモ IWATEMO
岩手の工房とフィンランドのデザイナーをつないで新しい工芸品を生み出す
鉄瓶/木製の椅子/磁器
Section4
伝統的な手仕事、文化
私たちが共感できるフィンランドのモノ・コト
白樺細工/織物/ヒンメリ/サウナ
【コラム】
「スツール60」90周年について
自分にとっての心地よさを知る 週末北欧部chika
日々の暮らしで触れてきた自然が、自分の体を通してデザインとなり、形になる 森下圭子
僕の考えるフィンランド・デザインの魅力 平井千里馬
フィンランドと日本のデザインー-相互に与えた影響 スザンナ・ティール
フィンランドの手仕事の精神性 アンナ・マリア・ウィルヤネン
アルヴァ・アアルトが計画した幻のサウナ構想 こばやしあやな
■「キュレイターズ」プロフィール
美術館や博物館といった文化施設の展覧会企画の立案、運営をはじめ施設そのものの設計及びコンサルタントに至るまで、美術にまつわる事業全般を手がけるプロ集団。展覧会実績は数知れず、直近でも「ディック・ブルーナ 本のしごと」「生誕一五〇年記念 板谷波山の陶芸」「海を渡った古伊万里」「サーリネンとフィンランドの美しい建築」などがある。また、2022(令和4)年には軽井沢安東美術館の設立に寄与している。
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