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「ゲームばかりしちゃダメ!」のかわりに何と言う? 元「すくすく子育て」アナウンサーが教える、子どもを伸ばす言葉

子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉

「どうしてやらないの?」「ちょっとちがうね」。
よかれと思ったその言葉、子どもに悪影響かも。

 2023年3月25日、フリーアナウンサーで、NPO法人「親子コミュニケーションラボ」代表理事を務める天野ひかりさんの新著『子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)が発売された。

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「早くしなさい!」「何度言ったらわかるの!」。子育てに奮闘するお母さんやお父さんは、こんなことを子どもに言う場面も多いかもしれない。その裏には、「自分でできる子になってほしい」、「なんでも上手にできる子になってほしい」という思いがあることがほとんどだろう。

 親としては、子どものためを思って言っているこれらの言葉。ところが、言われた当の子どもたちはこんなことを感じているという。

「早くできない自分じゃダメなの?」
「自分のやり方でやってみたいのに」
「別のことに今夢中なんだけど」

 このように、親としては正しいことを教えているつもりなのに、子どもからすると、自分を否定されたように聞こえてしまうことがある。この時、真意を伝えるには、視点を変えるのが良いという。「こうすべき」という親の価値観の押しつけから、子ども一人ひとりを「そのまま認めること」への転換が必要なのだ。

 この言葉の転換ができると、子どもは、自己肯定感が育ち、自分の判断に責任を持ち、考える力を伸ばすことができるようになる。この環境が、自分に自信を持ち、考え、行動できる「自律する力」を育てることにつながっていくという。

親子コミュニケーションのプロが教える「子供を伸ばす言葉」

 著者はNHK番組「すくすく子育て」の元司会の天野ひかりさん。

 番組での学びを活かし、親子のコミュニケーションを高めるオリジナルプログラムを開発して、各地で講座や講演を行い、これまでに5万6000人以上の親子、祖父母や教員のリアルな悩みに向き合ってきた。

 noteでの連載をまとめた本書では、著者がこれまで多くのお母さん、お父さんから実際に相談された悩みの中から、特に多くの人が抱えている悩みを章ごとに集め、親と子どもの視点の違いについて、漫画家・とげとげ。さんが手がけた4コママンガなどでわかりやすく解説。

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 電車の中で騒ぐ子どもを落ち着かせるにはどういう言葉をかければいいか、といった日常の悩みから、ジェンダー教育は何から始めればよいか、性教育のポイントなど、子育てのトレンドもおさえた内容となっている。

ゲームばかりやっている子どもにはどう接するべき?

 具体的にはどんな言葉が、「子どもを伸ばす言葉」、「実は否定している言葉」なのだろうか。天野さんは以下のように、NGとOKの例を、それぞれ対比させながら紹介している。

 鉄棒で遊ぶなど、子どもが何かを「やりたくない」と言い出した場合、NGなのは「わかったよ! もうやらなくていいよ!」と言って諦めてしまうこと。子どもの「やりたくない」の中には様々な気持ちが混ざっているので、「なぜやりたくないのか」を一緒に言葉にしていくことが大切だという。

 子どもがゲームばかりしているとき、「ゲームばっかりしてるとバカになるよ!」と頭ごなしに否定するのもNGだ。子どもは、自分のことを認めてもらった後で、初めて相手(お母さんやお父さん)の言うことを認めることができるようになる。まずは「うまいね!」と褒めた上で、「クリアしたら一緒に○○しようよ!」とゲーム以上に興味を持つことを、一緒に体験する提案をするのが良いという。

 本書の発売に際して、東京大学名誉教授で、日本保育学会前会長の汐見稔幸さんは「さすが、アナウンサー! 子どもの意見をどうすれば引き出せるか、その秘訣満載の本です」とコメント。5児の父であるタレント・つるの剛士さんも「子どもを知り、子どもを尊重し、子どもを信じて、子どもの成長を支える・・・そんな言葉を心がけていきたい!」と、それぞれ推薦の言葉を寄せている。

 子育てがラクになって、子どもの自己肯定感もあがる、今日から使える「声かけ」の正解が満載の1冊だ。

【目次】
はじめに

第1章 子どもの視点に立ってみる言葉
子どもの自己肯定感は、親の言葉かけで決まる?/ゲームばっかりやっているとき、叱らずにやめさせられる?/ご飯の前なのに、お菓子を欲しがったら、我慢させる? あげる? 他

第2章 子どもが自分で考え始める言葉
子どもが悪口を言い出したら、どう反応したらいい?/子どものやりたいことは認めたい。でもなかなか寝ないときはどうする?/自分からお手伝いする子になってほしい 他

第3章 子どもの力を認めて伸ばす言葉
子どもの習い事選びで失敗したくない!/「買って買って!」が止まらないときはどうすべき?/きょうだいゲンカを解決する効果的な方法は? 他

第4章 子育ての不安が消える言葉
小学校入学までにできるようにしておくたった一つのことは?/他の子はできるのに、わが子はできない......と思ったら?/子どもが仲間はずれにされないか心配。普段からどんな言葉をかけるべき? 他

おわりに 答えは目の前の子どものなかにある

■天野ひかりさんプロフィール

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あまの・ひかり/NPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事、フリーアナウンサー。上智大学文学部卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。NHK「すくすく子育て」キャスターの経験を生かし、親子コミュニケーションアドバイザーとして講演や企業セミナー講師を務める。NPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事、一般社団法人グローバルキッズアカデミー主席研究員。主な著書に『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)や『賢い子を育てる 夫婦の会話』(あさ出版)など。

■とげとげ。さんプロフィール
/元ナースの漫画家でイラストレーター。著書に「夫ですが会社辞めました」(KADOKAWA)。日常を4コマ漫画にするのが得意。


※画像提供:ディスカヴァー・トゥエンティワン

 
  • 書名 子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉
  • 監修・編集・著者名天野ひかり 著
    とげとげ。 マンガ
  • 出版社名ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 出版年月日2023年3月25日
  • 定価1650円(税込)
  • 判型・ページ数四六判・280ページ
  • ISBN9784799329351

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