「あか抜け」とは、洗練されたファッションなどによく使われる言葉だが、日々の「言葉遣い」ももっとあか抜けた表現ができるとしたらどうだろう。
『いつもの言葉があか抜ける オトナ女子のすてきな語彙力帳」(ダイヤモンド社)は、日常シーンで無理なく使える、「相手も自分もうれしくなる言葉」「上品で誠実な言葉」を豊富に紹介した1冊。
気持ちを伝える、感謝を伝える、ほめる、おわびする......シーン別に使えるフレーズを、334もの豊富な例文とともに網羅している。職場やプライベートですぐに使え、相手との距離がぐっと縮まる表現が盛りだくさんだ。
今回は、本書の第6章「ほめる言葉」から抜粋し、仕事中に使える表現や、自分が誰かに褒められたときの適切な言い回しを、実際のフレーズとともに紹介したい。
相手の仕事ぶりをほめたいときの表現として紹介されているものの1つが、次のフレーズだ。
「○○さんならできると思っていたよ」
これは、「誰にでもできることではない」という特別感を伝えることができる。相手のやる気にもつながるという。
他に、こんな表現も。
「仕事が丁寧ですね」
仕事の丁寧さに言及したほめ言葉は、結果よりも、相手の取り組み方など過程をほめるニュアンスが含まれる表現だそう。シンプルだからこそ、言われると嬉しいほめ言葉だ。
また、思考や判断が優れている人にそれを伝えたいときは、「頭がいいですね」よりも次のフレーズのほうがより相手が受け取りやすい。
「頭の回転が早いですね」
これは、年下の人や子供にも使いやすい言い方とのこと。
反対に気をつけたいのが、ほめるときに「○○なのに」という枕詞を付けてしてしまうこと。たとえば、以下のような表現だ。
「若いのに気が利くね」
「女なのに頭が切れるね」
「男なのに丁寧だね」
「バイトなのに働き者だね」
「主婦なのに責任感があるね」
著者の吉井奈々さんによれば、「~なのに」に続けてほめることは絶対NGとしている。これらは、心の奥で相手をジャッジし侮辱する態度が現れてしまっている表現。中には、つい悪気なく使ってしまいがちな表現もあるので、気をつけたい。
では、自分がほめられる側のとき、皆さんはどんな反応を返しているだろう。実はほめられ慣れていなくて、ついつい謙遜してしまうという人は多いかもしれない。
そんなときに使えるスマートな表現として、たとえば以下のフレーズは便利だ。
「ありがとうございます。ほめていただけてうれしいです」
謙遜も間違いではないものの、ほめられて嬉しい気持ちを素直に伝えるほうがポジティブな印象が与えられるとのこと。さらに、こんな表現も。
「今後の励みになります」
「そこに気づいてくれたのは○○さんだけです」
吉井さんは、ほめ言葉には次の流れで返すことで、焦ることなくスマートに返せると勧めている。
1.お礼を伝える
2.喜びの気持ちを伝える
3.相手を立てる
たとえば、先述のフレーズのように「ありがとうございます。ほめていただけてうれしいです」と、1と2を伝えた後、「そこに気づいてくれたのは○○さんだけです」「おしゃれな○○さんにほめてもらえてうれしいです」のように、相手を立てる一言を付け加える。ほめたほうもほめられたほうも、お互い良い気分になれるだろう。
本書では他にも、仕事中に使える表現として相手を立てる言葉や成長をほめる言葉など、実践的なフレーズが実例とともに多数掲載されている。
本書の目次は以下の通り。
はじめに
第1章 挨拶の言葉
第2章 気持ちを伝える言葉
第3章 感謝の言葉
第4章 打ち解ける言葉
第5章 あいづち・クッション言葉
第6章 ほめる言葉
第7章 励ます言葉
第8章 お願いの言葉
第9章 断るときの言葉
第10章 おわびの言葉
第11章 電話・メール・オンライン
(付録)SNSの言葉
次回は、本書の第7章から「励ます言葉」の実例を紹介したい。
■吉井奈々さんプロフィール
よしい・なな/一般社団法人JCMA代表理事、コミュニケーション講師。企業や教育機関でコミュニケーション講師として活躍。15年間にわたって約7万人に「心を大事にするコミュニケーション」を伝えている。出生時に割りあてられた性別は男性だったが、性別適合手術を受けて戸籍を女性に変更し、現在は男性と結婚。自身の生き方と経験から、さまざまな立場の人の気持ちを汲んだコミュニケーションが得意。日本郵政や法務省、日本コカ・コーラ、日産自動車、日本アイ・ビー・エムなど多くの省庁や企業で講演や研修を担当。
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