意外と身近な「新種発見」。
どこでも誰でも、新種を発見できる!
2022年12月17日に発売された『新種発見! 見つけて、調べて、名付ける方法』(山と溪谷社)は、日本国内における「新種発見」のエピソードをまとめたもの。
私たちが気付いていないだけで、身近な場所にもまだまだたくさん潜んでいるという「生物の新種」。本書は、実際に新種を発見した21人のエピソードを紹介している。新種発見者は、分類学者のほか、生態学や遺伝学を専門とする大学研究者、博物館の学芸員、4歳児......など、専門分野も職業もさまざま。
エピソードの舞台は、南は南西諸島から北は北海道まで、そして自宅の駐車場や近所の公園、博物館の展示、SNSの投稿写真、web上のデータベースや文献......など、身近な場所での新種発見も多数収録している。
取り上げる生物は、昆虫、クモ、貝類、魚類、鳥類、植物、菌類、恐竜やアンモナイトなど多種多様。調査や実験の手法も生物ごとに異なる。学術論文では語られない新種発見の裏話は執筆者の生物への熱い想いに溢れ、発見の瞬間の興奮を読者はリアルに追体験することができる。
巻頭では、新種の発見から記載までのフローチャートや、記載論文の内容解説など、新種記載にまつわる基礎知識を網羅。エピソードに登場する専門用語は、巻末に用語集を設けている。
中学、高校の生物の授業では触れられない、生物観察を行なう上で知っておきたい分類学の基礎知識を身につけることができる1冊だ。
【目次】
新種発見って何だ?/新種記載への道のり学名・和名とタイプ標本/記載論文徹底解剖/新種は「記載」されるもの―「認定」「登録」は間違い―
chapter 1 陸地で発見!
新種との出会いは突然に ババハシリグモ(馬場友希)
南の島で見つけた宝石 ベニエリルリゴキブリ(柳澤静磨)
アパートの駐車場にいた最強生物 ショウナイチョウメイムシ(荒川和晴)
光合成も開花もやめた!? タケシマヤツシロラン(末次健司)
冬虫夏草少年の直感 クサイロコメツキムシタケ(山本航平)
さえずりとDNAの違いが導いた発見 コムシクイ/オオムシクイ/メボソムシクイ(齋藤武馬)
chapter 2 水辺で発見!
4歳児が発見!? ごま粒大の新種 チゴケスベヨコエビ(森久拓也・有山啓之)
魚を採ったらくっついていた! オシリカジリムシ(是枝伶旺・上野大輔)
子どもの頃に抱いた"違和感" オオヨツハモガニ(大土直哉)
海を越えた連携プレー カクレマンボウ(澤井悦郎)
幻の新種となった深海魚 エピゴヌス・オカモトイ(岡本 誠)
"ドジョウの泥沼"に踏み込む シノビドジョウ(中島 淳)
chapter 3 こんなところで発見!?
60年越しの卵のバトン ムルティフィスウーリトゥス・シモノセキエンシス(今井拓哉)
後輩に手渡されたエレガントな化石 エゾセラス・エレガンス(相場大佑)
大掃除中、標本箱から発見! ニセコウベツブゲンゴロウ/ヒラサワツブゲンゴロウ(渡部晃平)
「Twitter」という学名を持つダニ チョウシハマベダニ/イワドハマベダニ(島野智之)
Twitterで出会えた憧れの存在 アイヌホソカタカイガラムシ(田中宏卓)
博物館での出会いがきっかけに ダイダイマダラウミヘビ(日比野友亮)
映画のセリフに隠れていた真実 サザエ(福田 宏)
新種発見! 裏話座談会/分類学用語集/おわりに/引用および参考とした主な文献
■馬場友希さんプロフィール
ばば・ゆうき/1979年福岡県生まれ。昆虫写真が趣味の父の影響により、幼少のころより生き物に興味を持つ。2002年九州大学理学部生物学科卒業、2008年東京大学大学院農学生命科学研究科生圏システム学専攻博士課程修了。博士(農学)。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構農業環境研究部門・上級研究員。
■福田宏さんプロフィール
ふくだ・ひろし/1965年山口県生まれ。物心ついたころから貝類の採集に没頭。博士(理学)。岡山大学農学部助教授を経て、2007年より岡山大学学術研究院環境生命科学学域(農学系)水系保全学研究室准教授。分類学者として多くの貝類の新種を記載する傍ら、環境省レッドリスト・レッドデータブックの編纂や軟体動物多様性学会の運営にも携わっている。軟体動物多様性学会のTwitterアカウントの中の人として、貝類の分類、生態、保全について発信中。
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