多くの人が感じる職場の人間関係。ハラスメントや嫌み、マウント、クレームなど理不尽な目に遭いながらも、言いたいことを言えなくてモヤモヤを抱えてしまう人も多いだろう。
言われっぱなしにせず、さりとて闘うでもなく、平和に過ごすのはどうしたら良いのだろうか。自分も相手も傷つけないコミュニケーションの極意を紹介しているのが、『言い返せない人の聴き方・伝え方』(日本能率協会マネジメントセンター)だ。
本書では、「闘わずして平和な未来を相手と一緒に作っていく」ための会話術を紹介していく。
まず、「なぜあなたは言い返せないのか?」について、著者の船見敏子さんは次の8つの理由を挙げている。
①立場が弱い
②自分が悪いと思っている
③人と争いたくない、傷つけたくない
④嫌われたくない
⑤自分の気持ちがわからない
⑥あきらめている
⑦傷ついてエネルギーがない
⑧言い方がわからない
あなたにも、思い当たることがいくつかあるのではないだろうか。船見さんは、言い返せない人の多くは、言いたいことはあるけれど、「決して言い返して相手と戦いたいわけではないと考えている」と分析している。
そんな、「波風立てず、そっと事態が好転することを望んでいる」人にピッタリの方法があるという。それが、次の3つのステップだ。
①言われっぱなしにならないように聴き、
②自分の心を整理して今の問題を未来の理想像に変え、
③未来形のことばで提案を伝える。
本書では、提案の伝え方やシーン別会話集、ストレスから守るセルフメンテナンス術など、仕事での人間関係に困っている人なら知っておきたいテクニックがたくさん紹介されている。
研修やカウンセリングで3ステップを教えている船見さん。受講者からは、「相手がすんなりと提案を受け入れてくれた」「相手の態度が変わったので驚いた」「自分自身がラクに伝えられた」などの感想が集まっているという。
会話の方法を見直すと、伝えやすくなって仕事の能率も上がるし、相手からの見られ方もガラリと変わるはず。「なめられない人」になれたらしめたものだ。テレワークでコミュニケーションが難しい時代、少しでも自分のストレスを減らすように「上手な言い返し方」を身につけたい。
■船見敏子さんプロフィール
ふなみ・としこ/株式会社ハピネスワーキング代表取締役。公認心理師、産業カウンセラー。1級キャリアコンサルティング技能士。栃木県生まれ。青山学院大学卒業後、大手出版社で雑誌編集に携わる。2005年にカウンセラーに転向し、全国の企業等で研修等を通じてメンタルヘルス支援・組織活性化支援を行う。著書に『幸せなチームのリーダーがしていること』(方丈社)、『職場がイキイキと動き出す 課長のほめ方の教科書』(左右社)、『「聴く力」磨けば人生うまくいく!』(マガジンハウス)、『愛される聴き方』(インプレス)など。
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