「子どもの頃の親との関わり方で性格が形づくられる」という話は、昨今さまざまなところで聞くようになった。しかし心理カウンセラーの根本裕幸さんは、さまざまな人の話を聞く中で、重要な要素がまだ他にあると考えるようになったという。それが、「兄弟姉妹」の関係だ。
兄弟姉妹といえば、「長子は真面目」「末っ子は要領がいい」といった"あるある"は話題になることがある。だが、根本さんいわく、兄弟姉妹の関係が性格に及ぼす影響は単純ではないそうだ。
生まれた順番、男女の組み合わせ、年齢差などに加え、親との距離などさまざまな要素が絡み合います。
つまり、同じ年齢差でも男女の組み合わせが違ったり、同じ「兄弟」でも年齢差が違ったりすると、関係性が変わってくるのだ。あらゆるパターンの兄弟姉妹の関係が、私たちの人格形成にどのような影響を及ぼすのかを根本さんが解説した本が、『兄弟姉妹の心理学 弟がいる姉はなぜ幸せになれないのか』（WAVE出版）だ。
兄弟姉妹がいる方は、ご自身と兄弟姉妹の関わりを思い返してみてほしい。（もちろん兄弟姉妹がいない方も、「いない」ということが現在の性格に大きく関わっている。）
根本さん自身も、3人きょうだいの第一子長男として2人の妹をもち、特に1歳差の上の妹に対しては「内心、競争していたようなところ」があったという。当時の根本さんは「相当な負けず嫌い」で、現在の根本さんの性格がつくられるうえで妹の存在は無視できないほど大きいのだそうだ。
本書では、たとえばこんな「兄弟姉妹」の心理が取り上げられている。
・なぜ2番目のお兄ちゃんは実家によりつかない？
・どうして次女だけ男ともだちが多いの？
・ひとりっ子がチームになじめない理由は？
・母の愛をめぐる兄弟の戦いの結末は？
・妹はどうして彼と兄を比べてしまう？
・なぜ弟は姉と母のケンカに戸惑うのか？
さらに、本書最終章「壊れてしまった関係を修復するために」では、心理カウンセラーらしく、兄弟姉妹の関係でつくられてしまった心理的な問題を解きほぐす方法を教えてくれる。心に問題を抱えながらも、親との関係を考えるだけでは解決方法を見つけきれなかった人のヒントになるかもしれない。
〈目次〉
第1章 私たちのキャラクターは兄弟姉妹につくられた
第2章 なぜ妹は姉に嫉妬されるのか――兄弟姉妹の基本心理①
第3章 なぜ3人きょうだいの真ん中は孤独なのか――兄弟姉妹の基本心理②
第4章 弟がいる姉はなぜ恋愛偏差値が低いのか――恋愛と兄弟姉妹
第5章 なぜひとりっ子はチームになじめないのか――仕事と兄弟姉妹
第6章 壊れてしまった関係を修復するために
■根本裕幸（ねもと・ひろゆき）さん
1972年9月6日生まれ。静岡県浜松市出身。2000年、プロカウンセラーとしてデビュー。以来、のべ１万5000本以上のカウンセリングをこなす。2001年、国内最大級のカウンセリングサイト「カウンセリングサービス」の設立に寄与。以降、14年間にわたり、同サービスの企画・運営に従事した。2015年3月に独立を果たし、フリーのカウンセラー・講師・作家として活動をスタート。現在は東京・大阪を中心にセミナーやセッションを行うほか、不定期で名古屋・福岡・札幌・仙台・広島・那覇などにも活動の幅を広げている。パートナーシップとライフワークという2つのテーマを掲げ、恋愛・結婚・夫婦の問題や、職場の人間関係、家族や子育てなどあらゆる問題を幅広く扱っている。主な著書に『人のために頑張りすぎて疲れた時に読む本』（大和書房）、『いつも自分のせいにする罪悪感がすーっと消えてなくなる本』（ディスカヴァー・トゥエンティワン）、『敏感すぎるあなたが7日間で自己肯定感をあげる方法』（あさ出版）など多数。
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