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奈良の大仏は3000億円超!? なぜ人は「宗教」に「金」をかけるのか

宗教にはなぜ金が集まるのか

 「宗教と金」が、今注目されている。安倍晋三元首相の銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者の母親が、統一教会(旧世界基督教統一神霊協会、現世界平和統一家庭連合)の信者で、教団に多額の献金をおこなっていた。それが原因で家庭が崩壊し、山上容疑者の「一生を歪ませ続けた」という。

 宗教に金を出す人々。それは新興宗教に限らず、仏教やキリスト教、イスラム教でも同じことだ。宗教学者の島田裕巳さんが、新著『宗教にはなぜ金が集まるのか』(祥伝社)で「宗教と金」の歴史とメカニズムを解き明かしている。

 宗教に集まる莫大な金を象徴するのが、巨大建造物だ。ピラミッドや大聖堂、巨大モスクなど、世界各地のあらゆる宗教が巨大建造物をつくってきた。

 巨大建造物には、どれだけの金がかかっているのか。奈良県東大寺の仏像(盧舎那仏像)の費用は、残っている記録から銅の費用、人件費、労働者の住居費などを割り出すと約3363億5000万円、大仏殿を含めると約4657億円と推計されている。経済波及効果は約1兆246億円。当時400~600万人と考えられる日本の人口のうち250万人以上が動員された、国を挙げての一大事業だった。

 現在日本の神社の社殿で最も大きいのは、出雲大社(島根県出雲市)だ。今の社殿は江戸時代に再建されたもので高さ約24mだが、平安時代は約48m、太古はなんと約96mだったと伝えられている。平安時代の48mの出雲大社の復元プランをつくったところ、総作業員は12万6700人、総工事費は121億8600万円となったそうだ。2013年には遷宮がおこなわれているが、屋根の葺き替えが中心ながら約80億円の費用がかかった。

 フランス・パリのノートルダム大聖堂が2019年に大火災に遭った際、再建費用の寄付を一般から募ったところ、1カ月で10億ユーロ(約1230億円)が集まった。現在フランスではカトリックの信者や聖職者が激減しているが、それでもノートルダム大聖堂の修復に多くの人が寄付する風潮は今でも残っていると言える。

 なぜ人々は、宗教に莫大な金をかけるのだろうか? 本書では、キリスト教・仏教・ユダヤ教・イスラム教・現代の日本企業と関わる宗教といった、古今東西あらゆる宗教の歴史から、宗教と金が密接に結びつく理由をひもといていく。聖職は金になる? 葬式は画期的な発明だった? 本書から、宗教の知られざる一面が見えてくる。


■島田裕巳(しまだ・ひろみ)さん
 宗教学者、作家。1953年、東京都生まれ。東京大学文学部宗教学科卒業、同大学大学院人文科学研究科博士課程修了(宗教学専攻)。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員を経て現在、東京女子大学・東京通信大学非常勤講師。著書に『死に方の思想』『AIを信じるか、神(アッラー)を信じるか』(共に祥伝社新書)、『創価学会』(新潮新書)、『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)、『性(セックス)と宗教』(講談社現代新書)など。


※画像提供:祥伝社


   
  • 書名 宗教にはなぜ金が集まるのか
  • 監修・編集・著者名島田裕巳 著
  • 出版社名祥伝社
  • 出版年月日2022年9月30日
  • 定価990円(税込)
  • 判型・ページ数新書判・256ページ
  • ISBN9784396116651

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