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俵万智との往復書簡も。枡野浩一の全短歌集『毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである』

毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである 枡野浩一全短歌集

 短歌ブームを牽引する人気歌人・枡野浩一さんの全短歌集『毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである』(左右社)が発売される。9月22日刊行予定で、予約はすでに開始されている。

こんなにもふざけたきょうがある以上どんなあすでもありうるだろう

殺したいやつがいるのでしばらくは目標のある人生である

(収録歌より)

 枡野さんが作っているのは、簡単な言葉だけなのに、読めば感嘆するという「かんたん短歌」。全く短歌の知識がなくてもすぐに意味がわかるので、短歌初心者にはぴったりだ。

わけもなく家出したくてたまらない 一人暮らしの部屋にいるのに

真夜中の電話に出ると「もうぼくをさがさないで」とウォーリーの声

君はそのとても苦しい言いわけで自分自身をだませるのかい?

ツイッター「フォローさせる」は選べない 愛を強要できないなんて

終わったとみんな言うけどおしまいがあるってことは素敵なことだ

 本書は、長らく入手困難となっていた枡野さんの過去の歌集の全収録作に加え、書籍未収録作までを完全網羅。さらに、タイトルにちなみ、俵万智さんとの往復書簡も特別栞として収録されている。日本を代表する2人の歌人は、手紙でどんなことを語ったのだろう。

最近はネットが普及して、オーソドックスとか鉄板とは違うデビューの道筋も増え、短歌がブームとまで言われるほど裾野が広がってきました。この時代に、このタイミングで、枡野浩一の足跡をたどれる全歌集が出ることは、ほんとうに時宜を得たものだと思います。
(俵万智/本書栞「俵万智 枡野浩一 往復書簡」より)

 今ブームの現代短歌、本書から手を出してみてはいかがだろうか。


〈小沢健二さん推薦コメント〉

 世の常として、他人に言えない孤独を歌にすると、他人に言えない孤独を抱えた、多くの人たちに愛される、のです。
 そして、そのことは一切、誰の孤独も軽くはしないのです。
 でも、歌は。
 あぁ、歌は。
 枡野さんのこの御本、とてもうれしい

【目次】
てのりくじら 1997
ドレミふぁんくしょんドロップ 1997
ますの。 1999
愛について 2006
夢について 2010
歌 2012
虹 2022
いつか 1989-2022
全著作一覧

特別栞:俵万智と枡野浩一の往復書簡
枡野浩一さん
枡野浩一さん

■枡野浩一(ますの・こういち)さん
1968年9月23日、東京うまれ。歌人。大学中退後、広告会社のコピーライター、フリーの雑誌ライター等を経て1997年9月23日、短歌絵本『てのりくじら』『ドレミふぁんくしょんドロップ』を2冊同時発売してデビュー。簡単な現代語だけで読者が感嘆してしまうような表現をめざす「かんたん短歌」を提唱。入門書『かんたん短歌の作り方』からは加藤千恵、佐藤真由美、天野慶らがデビューした。笹井宏之、宇都宮敦、仁尾智らの短歌をちりばめた小説『ショートソング』(佐々木あらら企画執筆協力)は約10万部のヒットとなり、若い世代の短歌ブームを牽引。高校国語教科書に《毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである》他掲載。受賞歴は2011年11月22日、明石家さんまが選ぶ「踊る!ヒット賞!!」および2022年3月19日、小沢健二とスチャダラパーが選ぶ「今夜も短歌で賞」。


※画像提供:左右社


  
  • 書名 毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである 枡野浩一全短歌集
  • 監修・編集・著者名枡野浩一 著
  • 出版社名左右社
  • 出版年月日2022年9月22日
  • 定価2530円(税込)
  • ISBN9784865280999

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