「ホスト×短歌」という異色のコラボ、「ホスト万葉集」。
既刊の単行本2冊から作品を選りすぐり、7月に『ホスト万葉集 文庫スペシャル』(講談社)として文庫化した。「スペシャル」というのがまた歌舞伎町らしく、景気がいい。
元ナンバーワンホストで現在はスマッパ!グループの会長を務めている手塚マキさんは、「社会派ホスト」として知られ、読書家でもある。手塚さんは「ホストにもっと本を読んでもらいたい」という思いで、歌舞伎町唯一の書店「歌舞伎町ブックセンター」を出店。ここでのイベントをきっかけに、「ホスト万葉集」が始まった。
飲み会でのトークは短文の掛け合いで、一人がダラダラ喋ることはありません。
だからホストは短い言葉に思いを込めるのが上手いんじゃないか? 「ホストたるもの歌のひとつでも詠めなきゃ」なんて言って始めましたが、実際に短歌を作ってみるとやはり難しい。ホスト達を、やる気にさせて、歌会に参加させるのも大変でした。
(「はじめに」より)
選者は、『サラダ記念日』の歌人・俵万智さんをはじめ、同じく歌人の野口あや子さん、小佐野彈さんという"本気"の布陣。「ホスト×短歌」はいったいどんな化学反応を起こしているのか? 本書に収録されている短歌を一部ご紹介しよう。
気をつけろ身なりで人を見ていたら中身はカラッポああ歌舞伎町
「彼氏みたい」はしゃいだ君と笑う日々 知らなかったよ、結婚してるの
面接で酒が強いと言ってしまい手放せなくなるしじみのサプリ
いつだって涙の数だけ強くなる たしかによく泣く女は強い
千葉県民 月に一度は帰省する 群馬栃木は親と揉めてる
後半には、コロナ禍で営業が制限された時期の短歌も収録されている。
コロナかもだから会わない好きだからコロナ時代の愛なんてクソ
夜の街 感染4割なるほどね なら6割は昼の街やん
歌舞伎町 危険、危険と叩くけど生きてくしかない俺の街だから
熱狂、色恋、夢、哀愁。短歌が切り取る夜の街は、どんな景色?
■手塚マキ(てづか・まき)さん
1977年、埼玉県生まれ。'97年から歌舞伎町で働き始め、ナンバーワンホストを経て、26歳で起業。現在は歌舞伎町でホストクラブ、BAR、飲食店、美容室など二十数軒を構える「Smappa! Group」会長。歌舞伎町商店街振興組合常任理事。NPO法人グリーンバード理事。JSA認定ソムリエ。ホストのボランティア団体「夜鳥の界」を仲間と立ち上げ、深夜の街頭清掃活動をおこなう。'17年歌舞伎町初の書店「歌舞伎町ブックセンター」をオープンし、話題に。'18年には接客業で培ったおもてなし精神を軸に介護事業もスタート。著書に、『裏・読書』『新宿・歌舞伎町 人はなぜ〈夜の街〉を求めるのか』がある。
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