いま、「心理的安全性」という言葉が注目されている。組織の中で、拒絶されたり非難されたりすることなく、自分の考えや気持ちを安心して発言できる環境のことを指す言葉だ。主にビジネスの場面で使われるが、家庭にこそ「心理的安全性」が必要とされているのではないだろうか。
今や共働き家庭は、専業主婦・主夫家庭の倍以上。もはや「一方が働いて、もう一方が家庭を支える」という時代は終わりつつある。日常的な家事分担だけではなく、転職、結婚、出産、お金......あらゆる意思決定が「ふたりの問題」になる時代。「自分ばかりが家事をしている」「転職したいけど、給料が下がるからパートナーに反対された」など、どちらかが(あるいは両方が)不満を抱えたまま、ギスギスした家庭にしないためには、安心して話ができる環境、つまり、「心理的安全性」が必要だ。
そこで紹介するのが『仕事も家庭もうまくいく! 共働きのすごい対話術』(クロスメディア・パブリッシング、7月25日発売)。パートナーと「家庭の共同経営者」になることを目標にした対話術が紹介されている。
お互いが対等な立場で話し合い、ビジョンを共有し、実現するための手段を検討し、優先順位を決めて取り組み、PDCAを回していく。仕事のように家庭もふたりで協力して運営していくことが必要だ。
「逃げ恥」の平匡&みくり夫妻を彷彿とさせる話だが、例えば、「この時期に転職なんてありえないよ!」と言いたいときは「次からもっと早く相談してほしいな」、「そっちも少しは家事をやってよ!」は「家事分担について話せたら嬉しいな」などと言い換えると、最高のチームに近づくことができる。
他にも次のような対話術が紹介されている。
●相手も大切にしながら、自分の意見もしっかりと伝えるには?
・「あなた」ではなく「私」を主語にして伝える
・「ふつうは」という言葉をいったん捨てる
・「二次感情」ではなく「一次感情」を伝える
●どんなふうに話せばいいかわからないときは?
・伝える内容を「D・E・S・C」で整理する
・ふだんから「思考のシェア」をして情報共有する
●相手が対話に応じてくれないときは?
・相手を責めるのはやめ、「心理的安全性」を高めていく
●つい口論になってしまうときは?
・「事実」と「解釈」を分けて伝えるようにする
・自責や他責ではなく「無責」で問題解決に臨む
・「戦略的ご自愛」で自分のメンタルを安定させる
ふたりで協力するためには、自分の気持ちを伝えつつ、互いに納得できる「落としどころ」を見つけることが大切だ。口論にならずに建設的な話し合いができるのがベスト。ちょっとだけでも言い方を変えてみると、相手の反応も変わるかもしれない。
目次は以下の通り。
第1章 仕事と家庭を両立させる「対話のカタチ」
第2章 共働きのふたりに必要な「伝えるスキル」
第3章 対話できる関係性をつくる「マインド」
第4章 家庭の対話の前に「自分との対話」を
第5章 共働きの悩みを「対話」で解決しよう
「家に帰ってまで"ビジョン"とか"共同運営"とか、ツライ...」と思うかもしれないが、要は互いを尊重し、立場を思いやる、ということに尽きる。何でも口に出せる「心理的安全性」の高い環境整備は家庭から。多様な働き方が尊重される時代だからこそ、我慢せずに対話を心がけよう。
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