フェイスタオルのゾウさんに、PPバンドの魚たち。「おかん」が作る作品は、独創的でありながら、どこか家庭の温かみを感じさせる。
2022年1月から4月にかけて、東京都渋谷公園通りギャラリーで開催されて大きな話題を呼んだ展覧会「Museum of Mom's Art にっぽん国おかんアート村」をご存じだろうか。作家・編集者・写真家である都築響一さんがプロデュースした、「母」たちのつくる手芸作品を「おかんアート」と名付けた展示会だ。
都築さんが追い続けてきた「おかんアート」は、地域によって使用する素材やスタイルの工夫はあるものの、なぜか共通点が多い。
そんな珠玉の「おかんアート」を集約した『Museum of Mom's Art 探すのをやめたときに見つかるもの』(ケンエレファント)が6月30日に発売される。話題となった展示品のほか、カリスマおかんアーティストの紹介や対談、インタビューを加えた。
都築さんが「おかんアート」の魅力に気づき、探索に足を踏み入れたのは、今から十数年も前のこと。日用品や手近な素材を駆使して一つの作品に作り上げる、懐かしさと斬新さに可能性を感じたという。
本書では、軍手人形、リボン人形、折り紙手芸からチラシかごなど、色とりどりの「おかんアート」を都築さん自身が撮影し、350点以上を掲載。実家の玄関や地元の喫茶店、道の駅、公民館など、一度はどこかで見かけた気がする作品が並ぶ。
家事、育児、仕事で多忙な「おかん」たちが、自身の制作欲に忠実に、純粋なよろこびを原動力として生み出されたところも魅力だ。その背景を間近で見つめてきた著者だからこそ、捉えれられた文章と写真がここにある。
■都築響一(つづき・きょういち)さんプロフィール
1956年東京生まれ。76年から10年間、「POPEYE」「BRUTUS」誌で現代美術・デザイン・都市生活などの記事を担当。89年から1992年にかけて、1980年代の世界現代美術の動向を包括的に網羅した全102巻の現代美術全集『アートランダム』を刊行。以来、現代美術・建築・写真・デザインなどの分野で執筆活動、書籍編集を続けている。97年、『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』で第23回木村伊兵衛写真賞を受賞。近著に『捨てられないTシャツ』(筑摩書房、2017年)、『Neverland Diner 二度と行けないあの店で』(ケンエレブックス、2021年)、『IDOL STYLE』(双葉社、2021年)など。
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