いまだ全世界で猛威を振るっている新型コロナウイルス。感染すると、脳が萎縮したり、認知機能が低下したりするリスクが高まることが、欧米や中国からの報告でわかってきているという。
3月28日発売の「AERA」増大号は、新型コロナウイルスが引き起こす認知機能低下のリスクに迫っている。
英オックスフォード大学などの研究チームが3月上旬、英科学誌「ネイチャー」に発表した論文によると、英国の「UKバイオバンク」と呼ばれる、英国人約3万人の様々な医療情報や遺伝情報を集めたデータバンクを分析した結果、新型コロナウイルスに感染した人は感染していない人に比べて、脳の大きさの萎縮や脳神経細胞の数の減少が大きく、嗅覚に関係する部位の組織の損傷も大きかった。
研究チームは、こういった脳の変化が起きた原因として、①嗅覚を司る神経系を介して、ウイルスが脳に損傷を与えた②ウイルスに感染して体内で起こる免疫反応の一環として分泌される、様々な生理活性物質が影響した③嗅覚障害のために嗅覚刺激が脳に入りにくくなり、脳神経の活動が低下し、その影響により脳の変化が生じた、と少なくとも3種類の可能性があると指摘する。
このような脳の構造などの変化が一時的なものなのかどうかは、さらに長期間観察しないとわからないが、脳の容積が小さくなったり、脳神経細胞が減ったりすることは、認知機能の低下につながる可能性が大きいという。
また、脳の容積や脳神経細胞の減少が大きい傾向は、重症以外の患者にもみられた。この結果に関して、熊本大学医学部血液・膠原病・感染症内科の松岡雅雄教授(ウイルス学)は、以下のように注意喚起する。
「重症以外の人でも脳に変化が起きているという点に、注意が必要です。さらに長期的な観察が必要ですが、重症以外の人でも、認知機能に何らかの影響が出る可能性があるかもしれません。脳への影響を防ぐには感染や重症化を防ぐことが第一なので、ワクチン接種が大切です」
ほか、誌面では、感染時に重症だった人ほど、認知機能が低下しやすいことを調べた中国・重慶市の第三軍医科大学などの研究チームの調査や、同じように肺炎を起こして入院治療を受けた場合でも、退院後に認知機能が低下するリスクは、新型コロナウイルスに感染した場合の方が、他の原因より高いことを示す米ミズーリ大学などの研究チームの報告などを取り上げている。
今週号の「AERA」には北京冬季五輪のフィギュアスケート女子銅メダリスト・坂本花織さんへの単独インタビューも掲載。3月23日、フランス・モンペリエで始まる世界選手権の抱負や、4歳の頃から指導を受けている中野コーチとの絆、幼少期に持っていた家からの「逃亡癖」などについて話している。
また、特集ページでは、ロシアによるウクライナ侵攻が取り上げられ、リーダー不在の世界を「Gゼロ」と名付けたアメリカの国際政治学者イアン・ブレマー氏が「Gゼロ後の戦争」を読み解いているほか、いままさに「核のボタン」を握っているロシア・プーチン大統領の論理や彼を支えるKGB人脈についての詳細なリポートなど、いま気になる情報が目白押しだ。
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