「会社辞めたい」。一度でもそう思ったことはないだろうか。スタッフサービスグループが働く4000人を対象におこなった調査によると、「Z世代」「ミレニアル世代」「就職氷河期世代」「バブル期世代」の4世代すべてで、「仕事を辞めたい」と思ったことのある人の割合が8割を超えている。
さらに、第一生命経済研究所のデータによると、年間の転職者数は約300万人だが、転職希望者数は800万人。その数は年々増加している。一生同じ職場で働くことが当たり前でなくなった、転職時代。しかし、「会社辞めたい」という気持ちだけで転職活動をするのは危険だと、「退職学」研究家の佐野創太さんは言う。
安易に転職をすると、転職した先でもまたモヤモヤが溜まり、結局「会社辞めたい」を繰り返すことになる。転職はループするのだ。なぜなら、「会社も、上司も、ぜんぶガチャ」だから。どんなにいい会社を選ぼうとしても、採用段階ではどの会社もいい面しか見えない。続けたい会社か辞めたい会社かは、入ってみないとわからないのだ。
多くの場合、ループしてしまう「会社辞めたい」。一方で、転職で本当にいい人生にシフトチェンジできる人もいる。その差は何なのか。佐野さんの著書『「会社辞めたい」ループから抜け出そう! 転職後も武器になる思考法』(サンマーク出版)が、ループする転職としない転職の違いを教えてくれる。
佐野さんいわく、転職してもモヤモヤが解決しない理由は、以下の5つだ。
(1)学生時代の就活と違って、私たちは「孤独で複雑」な転職活動をする
学生時代は友達と同じスタートラインに立ち、相談し合いながら就職活動ができた。しかし、社会人になってからは、友達同士でも立場もライフステージもバラバラ。状況が違う相手には相談しづらく、「本当はこうしたい」が言えなくなっていく。
(2)「自己分析」や「自分探し」で自分がますますわからなくなる
誰でも相手によって接し方が変わるように、「唯一無二の自分」など本当はどこにもいない。それなのに、自己分析で「唯一無二の自分」を探そうとするから、余計に自分がわからなくなる。
(3)転職支援サービスが「便利すぎる」から、モヤモヤを晴らせなくなる
料理のフルコースのように、1から10まで転職活動を進めてくれる転職エージェント。便利さに頼りきりだと、モヤモヤの残る企業でも、エージェントに言われるがままに内定を受けてしまう。
(4) 「最高の会社」はあっても、最高であり続ける会社はない
どんな会社も常に変化していくもの。転職したときは最高の会社だと思っても、その会社が数年後も転職した当初の状態であり続けるとは限らない。
(5)そもそも会社が「本音」を歓迎していない
会社の仕組み上、本当はやりたくないことでもやらなくてはいけない局面は多くある。本音を押し殺す中で、自分の本音がわからなくなっていくのは当然のこと。
以上の5つの環境が、私たちの転職を負のループにおちいらせているのだ。では、このループからどうすれば抜け出せるのか。
佐野さんが考える、転職のループを断ち切るポイントは、「本音」だ。自分の本音がわからないままに転職エージェントに登録すると、モヤモヤが残ったまま転職が進んでいってしまう。しかし自分の本音がしっかりわかっていれば、モヤモヤをそのままにしておくことはなくなる。
ただ、「会社辞めたい」という気持ちの本音といえば、「上司が嫌い」「給料がもっとほしい」など、面接では言えないようなことばかりだろう。本音をそのまま口に出せばいいというものではない。佐野さんは、転職活動を始める前のいわばステージ0の段階で、あることをするべきだと言う。それは、"本音磨き"だ。
佐野さんはこれまで数多くの転職希望者をサポートしてきて、転職後"も"うまくいく人は、意識的・無意識的にかかわらず、転職エージェントの登録前に"本音磨き"を終えていることに気づいたという。"本音磨き"を終えた状態とは、自分の軸が定まった状態のこと。この状態なら、エージェントにどんな企業を紹介されても、間違った選択をせず望み通りの職場へまっすぐたどりつけるのだ。
では、そんな"本音磨き"の方法とは? 佐野さんが提案するのは、「退職成仏ノート」「人間関係の仕分けノート」「明日への手紙」の3ステップ。詳しい内容と手順は、ぜひ書籍で確認してほしい。
あなたの「会社辞めたい」が、負のループになるか、新しい人生のきっかけになるか。この本がそのカギを握っているかもしれない。
■佐野創太(さの・そうた)さんプロフィール
日本初かつ唯一の「退職学™️(resignology)」の研究家/「退き際」の研究家。1000名以上の「会社辞めたい」からはじまる退職・転職・働き方の相談と、自身の最低と最高の退職をもとに『「会社辞めたい」ループから抜け出そう!転職後も武器になる思考法』(サンマーク出版)を2022年1月に出版。退職後も声をかけられ続ける人物に成長する「最高の会社の辞め方」を通じて、終身雇用の次の働き方である「セルフ終身雇用」を提唱している。また、退職者の本音に触れる立場から、企業には退職者をファンにして社員と信頼関係を築く「退職者コミュニケーション」を提供。同時に働くひとの本音に届く言葉づくりを強みにしてプロダクト開発・新規事業開発のメンバー、Webメディアの編集長、採用広報の立ち上げを務める。
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