2022年が始まった。今年こそダイエットに成功したい、今年こそ好きな人と結婚したい、今年こそ転職したい、今年こそ......と決意を新たにした人も多いだろう。
変化を求める気持ちが高まる新年にふさわしい一冊が、こちら。
「知は力なり」という言葉で知られるフランシス・ベーコンは、17世紀に活躍したイギリスの哲学者で政治家。フランスの哲学者、デカルトと並び「17世紀科学革命」を語る上で欠かせない存在だ......などと聞くと敬遠したくなるが、「超訳」というだけあってとても分かりやすく、その言葉は現代の私たちの心にもストレートに響く。
本書の中から、新年にぴったりのメッセージをいくつか紹介しよう。
「変わりたい」と思っても、なかなか一歩を踏み出せない人へ...
<いつも自分らしくなくてはならないと思い込み、そこから一歩も踏み出せない生真面目な人は、威厳は保てても幸運を手にすることはない。
(中略)
「変わらなければならないのに、変わらないままだった」(キケロ)という表現があるように、状況が転換しているのに元のままでいることほど、人間の運勢を妨げるものはないからだ。>
(002「変化を恐れるな」より)
ダイエットが続かない、あるいは、よい習慣を身につけたい、という人へ...
<ある習慣を自分に強制するには、ずっとやりつづけるのではなく、ときどき休憩をはさんだほうがいい。休憩するとリフレッシュできるが、それだけではない。まだ完全に身につけていない人の場合、ずっと練習し続けていると、良い能力だけでなく、悪いクセまで身につけてしまいかねないからだ。
だが、たとえ勝利しても過信は禁物だ。というのは、本性というものは、長いあいだ眠っていても、なにかの機会や誘惑で目覚めてしまうことがあるからだ。>
(060「習慣を身につけるための心得」より)
上司に認められたい、という人へ...
(前略)<名誉を勝ち取るために必要な美徳のうち、もっとも重要なものは、仕事が速いということだ。地位が高い人たちは、自分の部下には、考えが深すぎたり有能すぎる人たちを持ちたがらない人が多い。ほしいのは、仕事が速くて勤勉な人たちなのだ。>
(021「もっとも重要なのは仕事が速いこと」より)
BOOKウォッチ編集部員としてとくに印象に残ったのは、こちら。
<読書によって、充実した人になる。
会話によって、機転の利いた人になる。
書くことで、正確な人になる。
そんな習慣のない人には必要になってくることがある。
ほとんど書かない人は、強い記憶力を持つ必要がある。
ほとんど会話しない人は、当意即妙の才能が必要となる。
ほとんど読まない人は、知らないことを知っているかのように見せかけるための、要領の良さを身につける必要がある。>
(「154 読書によって充実した人になる」より)
「知ったかぶり」が露見するほど恥ずかしいことはない。現代では、知識を得る手段は本に限らないが、ベーコンはこんなことも言っている。
<「最良のアドバイザーは死者である」というフレーズは、15世紀スペインの王アルフォンソ5世のものらしいが、その通りと言うべきだろう。
ここでいう「死者」とは本のことだ。本は、人間なら忖度して口に出さないようなことも、率直に語ってくれることだろう。だからこそ、本には日常から親しむべきなのだ。>
(151「最良のアドバイザーは本だ」より)
年初に「今年こそ、300冊読破するぞ!」などと意気込み、下方修正するのが常だが、今年は何冊読むかより、「血肉となる読書」を目標に、幅広いジャンルの本に親しみ、「要領の良い人」より「充実した人」をめざしたい。
著者:フランシス・ベーコン
イギリスの哲学者で政治家。「イギリス経験主義の祖」と称される。1561年、ロンドン郊外に生まれ、ケンブリッジ大学に学ぶ(中退)。1581年、下院議員に選出されて政界に入り、エリザベス1世の特別顧問官、ジェームズ1世の学識顧問官、枢密顧問官、国璽尚書、大法官等を歴任。その一方『学問の進歩』『エッセイズ』などの著書を執筆。60歳のとき収賄容疑で失脚、その後は著作に専念する。1626年、鶏肉の冷凍保存実験がもとで気管支炎にかかり、65歳で死去。
編訳:佐藤けんいち(さとう・けんいち)
ケン・マネジメント代表。1962年京都府生まれ。一橋大学社会学部で歴史学を専攻、米国レンセラー工科大学(RPI)でMBAを取得(専攻は技術経営)。銀行系と広告代理店系のコンサル会社勤務を経て、中小機械メーカーで取締役経営企画室長、タイ王国では現地法人を立ち上げて代表をつとめた。編訳書に『超訳 自省録』『ガンディー 強く生きる言葉』(いずれも小社刊)がある。
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