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TikTokクリエイターけんごが選ぶ「今年一番面白かった本」 1位は...

死にたがりの君に贈る物語

 TikTokクリエイター・けんごさんが「2021年に一番面白かった本」を選ぶ「けんご大賞」が、12月15日、発表された。"ベストオブけんご大賞"には、綾崎隼『死にたがりの君に贈る物語』(ポプラ社)が選ばれた。

小説現代 2022 年 1 月・2 月合併号より
小説現代 2022 年 1 月・2 月合併号より

 けんごさんは、TikTokなどで書籍の紹介をするインフルエンサー。小説を紹介する数十秒の動画を投稿する活動を行っている。けんごさんの紹介をきっかけに売り上げが伸びた作品も多く、これまでに十数作品が重版に至った。

けんごさん(撮影:森清)
けんごさん(撮影:森清)

 「けんご大賞」は、「2021年に一番面白かった本」をけんごさんが選ぶ企画。大賞受賞作9作品、今年復刻された作品から選ぶ特別賞1作品、もっとも面白いと思った作品を選ぶ"ベストオブけんご大賞"1作品、計11作品をけんごさんが選んだ。

ベストオブけんご大賞は『死にたがりの君に贈る物語』

 ベストオブけんご大賞には、綾崎隼『死にたがりの君に贈る物語』(ポプラ社)が選ばれた。

画像は『死にたがりの君に贈る物語』(ポプラ社)
画像は『死にたがりの君に贈る物語』(ポプラ社)

 同作は山中にある廃校を舞台とした青春ミステリ。

 けんごさんは受賞理由を、「譲れないものがある人、いま何かを頑張っている人。この作品は、そんな人たちの心に寄り添い救ってくれるだけの力があります。文句なし!!」と語った。

 著者の綾崎隼さんは受賞について、「沢山の物語が溢れ、容易く埋もれてしまうこの時代に。私を知らなかった方へ、この本を届けてくれたこと。それが、決して【普通の出来事】ではないと、知っています」とコメントした。

 ほかに、東野圭吾『白鳥とコウモリ』(幻冬舎)や珠川こおり『檸檬先生』(講談社)など、特別賞には中山可穂『白い薔薇の淵まで』(河出書房新社)が選ばれた。

 受賞作とけんごさんのコメント、著者コメントは以下の通り。


■けんご大賞

道尾秀介『N』(集英社)

【けんごさんのコメント】
なんと1冊で720通りの物語が完成する斬新すぎる作品!! 本自体に色々な仕掛けが施されていて、電子化が進む時代だからこそ、紙で読んでいただきたい!!
【道尾さんのコメント】
まったく違うメディアがこうして一つになれるのは嬉しいことです。翼を選んで空を飛ぶか、手足を選んで陸を支配するかではなく、協力し合ってスーパーマンのようなものを誕生させるのは、僕も創作で目指している到達点の一つです

綿矢りさ 『オーラの発表会』(集英社)

【けんごさんのコメント】
この作品、本当に不思議なんですよ!! 主人公になんだこいつはってなりながらも気づいたら虜になっていて。一気読みでした!!

君嶋彼方『君の顔では泣けない』(KADOKAWA)

【けんごさんのコメント】
新たな男女入れ替わりの物語が誕生しました!! もし、異性と身体が入れ替わったら、他人として生きる覚悟はありますか?
【君嶋さんのコメント】
「"若者の活字離れ"は絶対に間違っている」。僕が一番印象に残っているけんごさんの言葉です。けんごさんはTikTokという新しい媒体で小説を紹介し続け、多くの若者が本と出会う機会を作ってくれました。そんな中、『君の顔では泣けない』が選ばれたのは本当に光栄です。このことをきっかけに、この作品が若い人を始めもっと多くの人々に届き、そして何かを感じ、得られることを祈っております。この度は本当にありがとうございました。

青山美智子『月曜日の抹茶カフェ』(宝島社)

【けんごさんのコメント】
ぼくの大好きな作品『木曜日にはココアを』に続く本作。読む前から感じてはいたんですが、やっぱり温かかった!! ご縁って素敵ですね!!
【青山さんのコメント】
けんご大賞という素敵な賞をいただき、とても嬉しく思っています。抹茶色の12ヵ月の物語に、さらにひとつ、フレッシュで鮮やかな色彩を与えていただいたような気持ちです。「縁」をテーマにした小説『月曜日の抹茶カフェ』を通して、この本をお手に取ってくださった方々と新たなご縁が繋がり広がっていくことを願ってやみません。どうもありがとうございました。

東野圭吾 『白鳥とコウモリ』(幻冬舎)

【けんごさんのコメント】
2021年最高のミステリー作品!! 説明はいらない。とにかく読んでいただきたいです!
【東野さんのコメント】
やった! けいご大賞とW受賞だ!

山本文緒 『ばにらさま』(文藝春秋)

【けんごさんのコメント】
合計6編の満足感ある傑作短編集!! どのお話も女性の繊細な心理描写が丁寧に描かれており、ほろ苦い感じが本当に良かった!!

町田そのこ /『星を掬う』(中央公論新社)

【けんごさんのコメント】
「普通」の母娘関係を築けなかった4人の物語。メッセージ性が非常に強く、グッとくるものがあって思わず涙が...
【町田さんのコメント】
TikTokという新しい世界で物語を広めて頂き、ありがとうございます。私が学生のころにこんなコンテンツがあれば、もっと読書が豊かになったのだろうな

珠川こおり 『檸檬先生』(講談社)

【けんごさんのコメント】
私の十年来愛した女性は、四肢を投げ出し、絶命した。衝撃的なプロローグから始まる、「共感覚」をテーマにした作品。装丁に一目惚れして、物語にも没頭しました!!
【珠川さんのコメント】
新人賞受賞作で選ばれることになり、嬉しくてとてもドキドキしてます。今回の受賞を機に、より多くの方々に届きますように。この度は、ありがとうございました!

カツセマサヒコ『夜行秘密』(双葉社)

【けんごさんのコメント】
今この時代を生きる人々全員に読んでいただきたい一冊。恋愛だったり、SNSだったり、短編なんですが一つ一つの話が輝いていて、欲張りした気分になります!
【カツセマサヒコさんのコメント】
「若い人が本を読まなくなった」と言われて久しいですが、けんごさんの情報発信への反応を見ていると、小説の世界はもっと多くの人に愛されていけると勇気をもらえます。この受賞をきっかけに、自分の本からまた別の本へと、物語に興味を持つ方が増えたら幸いです。

■特別賞

中山可穂『白い薔薇の淵まで』(河出書房新社)

【けんごさんのコメント】
復刻版かつ、11作品のうち唯一の文庫本。それでも魅力的過ぎて選ばざるを得なかった...。本物の...究極の「愛」がここに詰まっている気がします!!
【中山さんのコメント】
エロスとタナトス、愛と死がこの世のすべてである。この小説を再び紙の本で読者に届けられることを嬉しく思います。膨大な本の中からこの本を見つけてくださったけんごさん、ありがとうございます!

  • 書名 死にたがりの君に贈る物語
  • 監修・編集・著者名綾崎隼 作
  • 出版社名ポプラ社
  • 出版年月日2021年5月10日
  • 定価1,700円+税
  • 判型・ページ数四六判・379ページ
  • ISBN9784591170083

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