わが子を虐待する親が、後を絶たないのはなぜか――。
平成23年、名古屋市内で児童虐待死亡事件が起きた。この事件を機に設置された児童虐待対策室で主査を務めていた大岡啓二さんは、退職してからも、虐待の根本原因を解明しようと取り組んでいる。
そしてこのたび、『人はなぜ、愛するわが子を虐待するのか?児童虐待が繰り返される本当の原因を探る』(みらいパブリッシング)を上梓した。
児相では、少しでも子どもの危険を感じたら「ちゅう躇なく親から引き離す」という方針をとらざるを得ないのが現状だ。そこに多くの理不尽と矛盾を感じた大岡さんは、「子育ては親の責任」という"謎の常識"に押しつぶされることで、虐待が生まれるベースができてしまうのではないか、と問いかける。
現代の社会では、自分の子は自分で育てることが「当たり前」だが、かつての人類は仲間どうしで助け合って子育てを行ってきた。「子育てを独りで...など、生物学的に本来は無理なのではないか」と、現代の矛盾を紐解いていく。そして、現場での体験から問題点を指摘する。
本書の目次は以下の通り。
序章 わが子を虐待する親があとを絶たないのはなぜか
第一章 児童虐待のルーツを求めて ~人類発祥と進化の歴史をたどる~
第二章 原始時代の子育て
第三章 核家族化の進行と地域社会の変容
第四章 現代子育て事情 ~その問題点を探る~
最後に 子育てシェアハウスのこと
ワンオペ育児も教育費の負担も「好きで産んだのだから自己責任」と、とかく子育て中の親に厳しい目が向けられる日本社会。大岡さんは、「少しでも多くの悩める親たちが、『自分の親としての能力が低い』せいだと追い詰められないように、いつまでも親個人の問題を取りざたするのではなく、社会の仕組みを見直す一石を投じることができれば、という思いを1冊にまとめました」と語る。
子育てに教科書はない。イレギュラーの連続で翻弄される日々の中で、「とにかく迷惑をかけてはいけない」と親達は神経をすり減らしている。悲しい事件が一つでも減るよう、誰もが気軽に頼れる社会の仕組みができることを願うばかりだ。
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