「心理学」とは何なのか。あなたは説明できるだろうか? 精神医学や、占い、メンタリズムとの違いは?
『人と社会の本質をつかむ 心理学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、心理学者の内藤誼人さんの解説で、心理学の基礎から発展までを3週間のカリキュラムで学ぶ入門書だ。本書は、〈「わかったつもり」で終わらない 独学シリーズ〉第2弾。その名の通り、「わかったつもり」にとどまらず、たしかに身につく教養として学ぶことができる。読者が心理学について自分の考えをもつことが、この本の目的だ。
心理学は、人間を研究する学問。だから、内藤さんいわく、心理学は私たち初心者にも自分の実体験を通して理解しやすいそうだ。たとえば、スポーツや仕事など、日常生活でも使われる「スキル」という言葉。「スキル」は、心理学ではこのような公式で表される。
スキル(skill)=早さ(speed)×正確さ(accuracy)
どんなに仕事を終わらせるのが早くても、出来上がったものが全部間違っていたら、スキルはゼロだ。早さと正確さをかねそなえた人こそ「スキルがある」と言える。これは誰しもが同意することだろう。心理学の法則や公式はこのように、どれもさほど難しくはない。しかも内藤さんが超初心者向けにわかりやすく解説してくれるから、「学問!」と構える必要もない。
心理学を学ぶと、何がよいのか? 本書によれば、心理学とは「私たちの願望を科学的な手法によって叶えるための方法を探求する学問」だという。たとえば、心理学の知見を用いれば、次のような望みに対する解決法が見つかる。
〇お金持ちになるための方法を知りたい
〇大好きな人と恋人になりたい
〇自分の子どもが、優秀な大人になってほしい
〇せっかちな性格を改善したい
〇成功するダイエットの仕方を教えてほしい...etc.
どれも身近で、多くの人が答えを欲するものばかり。政治学を勉強したからといって、すぐに政治家になれるわけではないし、経済学を勉強すれば、簡単に株を儲けられるわけではないが、心理学は、その日のうちに、すぐに実践できるのが特徴だ。学ぶ目標は、「今まで以上にもっともっと幸せになること」だというのもうなずける。
3週間のカリキュラムは、「心理学とは何か」を知る第1週、自分自身や人間関係など身近な心理学を学ぶ第2週、組織や社会などもっと広い視点にチャレンジする第3週で構成されている。1週間はそれぞれ5日間に分かれており、1日1トピックを学ぶ。
1日の終わりには、その日の内容のテストが出題される。記述式の問題なので、自分なりの言葉で考える力がつく。本を読んで終わりにならないようにつくられているのだ。
自分で学習のペースをつくれるか不安な人、理解できているか不安な人向けに、メールマガジンのサービスもある。QRコードから登録すると、1週間ごとに各週のまとめ解説と復習問題が送られてきて、学習をサポートしてくれる。
超初心者向けで、小難しい話は一切ないのに、ほんの入口で終わらず、自分の頭で考えて実践するまでの本格的な学びが得られるこの本。こんなにうってつけな入門書があるのだから、心理学に触れてみたいけれど機会がなかった方や、そういえば心理学ってよくわからないなと思った方、今こそ飛び込んでみてはいかがだろうか。
【目次】
第1週 心理学とはどんな学問か?
第1日 心理学についての、よくある勘違い
第2日 心理学はどのように始まったのか?
第3日 心理学の方法はどのようなものか?
第4日 心理学と他の学問の関係は?
第5日 心理学は人が幸福になることを目指している
第2週 心理学で自分と他人を知る
第1日 人の心はどこまでわかる?
第2日 やる気と集中力を上げるには?
第3日 心理学的に能率が上がる学習法とは?
第4日 いい関係を築くには?
第5日 正確な判断はなかなか下せない
第3週 世の中を読み解くための心理学
第1日 人の行動の裏にはどんな心理が働いているのか?
第2日 組織をうまくいかせる心理学
第3日 ビジネスに役立つ心理学
第4日 幸福感を高める心理学
第5日 心理学で社会を読み解く
■内藤誼人 (ないとう・よしひと)さんプロフィール
心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長。慶応義塾大学社会学研究科博士課程修了。
社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は釣りとガーデニング。著書に『世界最先端の研究が教えるすごい心理学』(総合法令出版)、『いちいち気にしない心が手に入る本』(三笠書房)、『図解 身近にあふれる「心理学」が3時間でわかる本』(明日香出版社)など多数。その数は200冊を超える。
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