上司や部下、夫婦、恋人、親子、ママ友......。人間関係を良くするのも悪くするのも、「言葉づかい」にかかっている、と言っても過言ではないだろう。
精神科医のゆうきゆうさんが監修した『心理学的に正しい! 人に必ず好かれる言葉づかいの図鑑』(宝島社)は、"相手に好かれる会話術"を心理テクニックとともに解説している。日常会話からビジネス、男女・夫婦の会話、親子の会話まで、好印象になる伝え方の実例が満載だ。
たとえば、結婚や出産など、幸せな出来事の報告を受けたときは、「うらやましい」より「あやかりたい」がベターだ。
「うらやましい」はネガティブな印象を持たれることもあるので要注意。相手は自慢するつもりがないのに、「うらやましい」と直球で返されると、こびている印象を持たれることも。さらには「妬まれているのかな」と不安な気持ちにさせたり、「バカにされてる?」と感じたりするかもしれない。「あやかりたい」なら、素直に相手の幸運を一緒に喜んでいるというメッセージがすんなり伝わる。
逆に、大変な状況にある相手には、なんと伝えれば好印象を持たれるのだろうか。
「それは大変(つらい)ですね」と言っても相手への気づかいは伝わるが、ややそっけない印象も。この場合は、「(ご心痛のほど)お察しします」と表現しよう。
(前略)より相手に寄り添って、心の内やものごとの事情を推しはかり、同情していることが伝えられます。
自分が大変な状況にあることを伝えたいときにも、「大変なんです」というよりは、「お察しください」のほうがスマートだ。「あなたなら、わかってくれますよね」という相手への信頼も伝えられる。
ビジネスのシーンでも、「言葉づかい」ひとつで相手に与える印象ががらりと変わる。相手に好印象を与え、次に信頼関係を築くための「モノの言い方」というものがある。
基本的なところでは、上司に「了解しました」や「わかりました」はNGだ。「かしこまりました」もしくは、「承知しました」「承りました」と言うと、目上の人への敬意が伝わる。
また、大事な仕事を任されたとき、「がんばります」ではやや言葉が足りず、稚拙な印象を与えてしまう。「何をどうがんばるか」を伝えることが一番だが、まだプランが固まっていないときなどには、「ご期待に沿えるよう、精進いたします」または「尽力します」など、大人の言葉づかいで信頼度を高めよう。
本書は「日常会話編」「ビジネス編」「恋愛・結婚編」「子育て・教育編」「自分自身へ」の5章立て。各章の冒頭に「初対面の会話で好印象を与える方法」「男女の会話がすれ違ってしまう理由」「間違ったほめ方・叱り方」など、会話の注意点がまとめられている。
さらに、「伝えかたの心理学」として、「ミラーリング効果」や「セルフ・マニピュレーション」、「レッテル効果」「カリギュラ効果」といった心理学のキーワードが具体例とともに紹介されている。
たとえば、「セルフ・マニピュレーション」。
「セルフ=自分自身」と「マニピュレーション=操作」を組み合わせた言葉で、文字どおり「自分自身を操作する」ことを指します。自分自身の身振りや手振り、表情、態度、声色などを意識的にコントロールすることで、相手の自分に対する印象を良い方向にコントロールするテクニックです。
会議やプレゼンの場などで、体をゆらす、早口でしゃべる、目が泳いでいる、声が小さい、顔や髪を頻繁に触る、ずっと下を向いている、などの行動は、「自信がなさそう」に見えるので要注意。堂々と自信にあふれた態度を身につけるには、むやみに体や視線を動かさず、大きめの声でゆっくりと話すことが大切だ。
監修者のゆうきゆうさんが総院長を務めるメンタルクリニックを訪れる患者の悩みで一番多いのは、仕事でもお金でも成績でもなく、人間関係の悩みだという。
人間関係が円滑であれば、精神的な安定が保てるのです。
すなわち人間関係を改善することは、心の健康のためにも重要なのです。
自分の心を守るためにも、好印象を与える「言葉づかい」は武器になる。相手に好かれれば、嫌なことを言われる機会も減る。すると、仕事はスムーズに進み、家庭は円満に、親戚やママ友との付き合いも円滑になり、心穏やかに過ごせる。そうして、より人から好かれるという好循環に。心理学を活用して、好かれる言葉づかいを身につけよう。
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