最近、本を読んで久しぶりにおなかがよじれるほど笑った。それが、こちらの本。
福井県立図書館の司書の方々が、利用者の覚え違いのタイトルをまとめた『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』(講談社)だ。
「夏目漱石の『僕ちゃん』お借りできます?」
「『ぶるる』みたいな旅行ガイドの本なんですが...」
「村上春樹の『とんでもなくクリスタルはどこですか?』」
図書館のカウンターには、毎日さまざまな人が読みたい本を探しにやってくる。利用客のうろ覚えの記憶を頼りに、お目当ての本を見つけ出してくれるのが、図書館司書と呼ばれる人たちだ。
『僕ちゃん』は『坊ちゃん』、『ぶるる』は『るるぶ』(お、惜しい......!)、3つ目の「村上春樹の『とんでもなくクリスタル』」は、村上龍の『限りなく透明に近いブルー』だ。著者名もタイトルも微妙に違うが、気持ちはわかる。正解を知っている人も知らない人も、見比べるとジワジワと笑いがこみあげてくる。
福井図書館では、本を探すレファレンスサービスを利用者にアピールするため、2007年にウェブ上で「覚え違いタイトル集」の公開を始めた。その面白さが徐々に注目されるようになり、今では更新されるたびにSNSで拡散されて話題に。他館の司書や書店員などからも情報が寄せられるようになったという。
本書では、その中から90の"秀作"を紹介している。1つ1つに添えられたシュールなイラストと司書のみなさんの温かいコメントが、面白さを倍増させている。
ここでちょっとだけ、中身を紹介しよう。
「何があったのでしょうか。なかなか込み入った願望です。」
オリジナルの作品を知らなかったのだが、間違え方が面白すぎて、がぜん興味がわいてくる。まだ読んだことのない魅力的な作品に出合えるのも本書の魅力だ。
「どうやら静けさが足りなかったようですね。」
「とにかく標準語の発音ではなかったことを覚えていらしたんですね。」
「お殿様がお呼びです。」
「これこれちこうよれ」から「日日是好日」にたどり着いた司書の方のセンスと検索能力、本への愛に感動し、この面白さを誰かとシェアしたくなる。
長引くマスク生活で、「最近、声を出して笑ったのはいつだったかな...」という方に、特におすすめしたい。ただし、電車の中で読むのはやめておいたほうがいいかも。誰にもはばかることなくワハハと笑える環境で、心ゆくまで楽しんで。
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