子育てをしながら働く主婦にとって、買い物は苦行だ。仕事帰りのスーパーはいつも混んでいる。今晩の献立と冷蔵庫の中を思い浮かべつつ、豆腐にひき肉、玉ねぎ、大根...そうだ、お味噌もきれていたっけ、と買い物カートに次々と放り込み、行列に並び会計を済ませ、エコバッグに詰める。重たい荷物を自転車のカゴに積み、後ろに子どもを乗せて自宅に帰り着くともうヘトヘト。買ってきたものを冷蔵庫やパントリーにしまうのだって、時間がかかる。
炊事の一環としてとらえられがちだが、「買い物」はそれだけで立派な家事だ。しかも炊事・洗濯・掃除などほかの家事に比べ、時間も脳のメモリも体力も奪われる。実はもっとも負荷が高い家事と言えるのではないか。
家事を少しでもラクにしたい、時短をかなえたいなら、炊事でも掃除でも洗濯でもなく、まずは「買い物という家事」を見直すことが大切だ。そこで参考になるのが本書、『みんなの買い物大全 - いま見直したい! 食材の買いグセ -』(ワニブックス)だ。
本書では、家事の時短術の本には珍しく、「買い物」に特化して工夫の方法を紹介している。著者は、「心地よい暮らし研究会」の5人のメンバー。ライフオーガナイザー、整理収納アドバイザー、クローゼットオーガナイザーなどの資格や、他分野での経験を生かしながら個々に活動しているメンバーは、全員 2人の子を持つママだ。
買い物でありがちな悩みは、次の3つだという。
・行き当たりばったりで買った食材が冷蔵庫で「でろーん」
・生協を頼んだはいいけど、食材をうまく回せない...
・生協は高すぎる? いや、スーパーの方が余分に買いすぎる?
どれも思い当たることばかりだ。そこで本書では、「買い物上手になる10のルール」を紹介している。
ルール1 やっぱりなにはともあれ、宅配生協にトライ
ルール2 1週間単位で食材を管理し、食生活をふかんしてみる
ルール3 すべてを生協でと、気負わない。スーパーとの使い分けが吉
ルール4 毎週届くルーティン食材を決めておく
ルール5 少なめ買いを基本にして、フードロスを生み出さない
ルール6 メニューは前もって決めず、「名もなき料理」も恐れない
ルール7 切らさず買う定番加工食品と調味料を決めておく
ルール8 頼るべきは、冷凍食品。素材まんまも多く、いろいろ進化中
ルール9 目先の安さにこだわらないことが結局、節約になる
ルール10 冷蔵庫にこそ、買い物を制するコツあり
ここでは、ルール1「やっぱりなにはともあれ、宅配生協にトライ」を紹介しよう。
時短&ラクしたいなら、生協に加入をしたほうがいいというのが、5人の共通見解です。
家の前まで食材を届けてくれるので、スーパーまでの往復、会計での待ち時間、食材を詰める作業が不要になり、かなりの時短になる。重いものを運ぶ労力を軽減でき、ぐずる子どもをあやしながら買い物をする心の負担も減る。子どもが成長期で大量の買出しが必要な場合などは、宅配を利用すれば体力の温存につながる、とメリットがたくさん。
最近ではスマホやパソコン、アプリやLINEなどでの注文に対応している場合もあるようだ。気軽に注文できるのならさらに時短ができそうだ。
ただし宅配生協は、1週間単位での食材のやりくりが苦手、自分が買いたいタイミングと合わないことがあるなどのデメリットも。本書では、最初にスーパー派と生協派の「買い物タイプ分析チャート」で、スーパーと生協をどのくらいの割合で使い分けるのが合っているか、「相性」を診断できる。
他にも、冷蔵庫の効率的な使い方や時短食材の紹介、毎日をラクにする下ごしらえのアイデアなど痒い所に手が届く情報が満載だ。
子育て中の人に限らず、毎日の家事を少しでもラクにして自分のための時間を増やしたいなら、まずは「買い物という家事」から見直してみてはいかがだろうか。
■心地よい暮らし研究会 プロフィール
メンバー
マキ(シンプルライフ研究家)
宇高有香(収納暮らしコンサルタント)
大木聖美(暮らし評論家)
中山あいこ(会社員、シングルマザー)
近藤こうこ(主婦、暮らしの美活研究家)
それぞれに人気ブログを主宰。ライフオーガナイザー、整理収納アドバイザー、クローゼットオーガナイザーなどの資格や、他分野での経験を生かしながら個々に活動中。プライベートでは全員 2人の子を持つママ。それぞれの得意分野やタイプは違うものの、自分の家族のために、心地よい暮らしを研究し、実践している点では同じ。心地よい暮らし研究会が目指すのは、一緒に活動することで「多くの家族の暮らしのベースを整えて、ママの余裕をつくること」。企業や雑誌とのコラボも増えていて、商品開発などにも携わっている。心地よい暮らし研究会として上梓する、記念すべき初の書籍。*マキには10冊、宇高有香には1冊、中山あいこには3冊の単著あり
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