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その買い物、損してるかも。買い物上手がしていることとは?

9割の買い物は不要である

   使ってもいないサブスクの料金を支払い続けたり、ネットショッピングでいらないものまでついついポチってしまったりした経験はないだろうか。ドキッとしたあなたは売り手側の罠にハマっているかもしれない。『9割の買い物は不要である 行動経済学でわかる「得する人・損する人」』(秀和システム)は、マーケティング&ブランディングディレクターで、今まで多数の行動経済学に関する書籍を著してきた橋本之克さんによる一冊。よりよい買い物をするために、行動経済学から見た買い手側の心理が解説されている。主に売り手側が使っている行動経済学の理論を買い手側が知ることで、無駄のない納得感のある買い物ができる。

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金銭感覚がバグるのは「メンタル・アカウンティング」の影響

   ネットショッピングは便利だが、気軽にポチれるところにこそ落とし穴がある。この場合の「落とし穴」とは、お金を使っている感覚が欠落してしまうこと。現金払いであればお金を使ったことを実感できるが、クレジットカードなどのキャッシュレス決済ではその感覚が薄くなり、ネット決済における支払いが軽いものに感じられてしまう。このように、支払い方法でお金の価値の感じ方が変わるのは「メンタル・アカウンティング」の影響だという。

   メンタル・アカウンティングとは、支払いの際に総合的、合理的に判断するのではなく、心理的な感覚で判断してしまうバイアスのこと。リアルなお金もクレジットカードも、支払い方法であることには変わりがないはずが、リアルな物体が手元にあるかどうかで心理的な違いが生じる。マサチューセッツ工科大学での実験では、現金払いよりもクレジットカード払いのほうがお金を使いすぎることが示された。

   また、買い物が早く済むことによる「検討不足」にも要注意。ネットショッピングは、ボタンを押すだけで、短時間で買い物ができてしまう。このように衝動的で直感的な買い物を「パルス型消費」と呼ぶ。パルス型消費では、情報を十分に検討する間がないため「じつは欲しくないものを買ってしまった」「今は買う必要がなかった」など不満の残る買い物になってしまうことも。

   ネットでいい買い物をするためには、情報収集など買うまでのプロセスを楽しむことと、決済手続きまで一呼吸置くことが効果的だという。

サブスクの落とし穴

   サブスクも支払っている感覚が欠如しやすい。そのため、使ってもいないサービスに対してお金を払い続けてしまうことも......。なぜ、人はサブスクを使い続けてしまうのだろうか。橋本さんは、それは「サンクコスト効果」の影響だと指摘する。

 "すでに費やして二度と戻らないお金、時間や労力などを「サンクコスト(Sunk Cost)」と呼びます。......(中略)このサンクコスト効果が働くと、サブスクで払った費用がムダにならないよう、普段以上に商品やサービスを利用します。"

   つまり、ムダにならないようにと無理にサービスを使い尽くそうと頑張ってしまう。しかし、無理は続かないため、サービスを利用する頻度は落ちていく。サブスクを使わなければムダになってしまうという気持ちがありながらも、利用する余裕や関心がなくなっていく。このような状態を「認知的不協和」という。この時点で解約すればいいものの、変化や未知のものを避けて、現在の状況に固執してしまう「現状維持バイアス」が働き、サブスクを解約しづらくしてしまうのだ。

   このような状態を脱するために必要なことは、「支払っている感覚」をもつこと。具体的には、クレジットカードなどの支払い状況をチェックすることが効果的だ。特に紙の明細書で確認をすることを勧めている。

   本書では他にも、買いだめしてしまう心理やマイホームを買うときの注意点などについても説明されている。

   目次は以下の通り。

第1章 ネットの買い物で失敗しないコツとは?
即ポチとは「一瞬で買わされている」ということ / 使い放題のサブスクは、お金の支払い放題 / メルカリで損せず、楽しく使うために 他
第2章 「損したくない」という人ほど損している
セール時のまとめ買いは本当に得なのか? / 「安いから」で買うことが、そもそもおかしい / 「ついでにこれも」ではもう買わない! 他
第3章 買い物での選択で間違えないポイント
ポイントカードは作るべき? / 「仕掛けられた三択」で望まぬ買い物をしている / 生活必需品の買いだめは正しい?正しくない? 他
第4章 絶対に後悔したくない「大きい買い物」
それでも本当にマイホームが欲しいですか? / 保険に入りすぎて節約できないのは「保険文脈」のせい 他

   買い物をするときに、どのような心理が働いているのか。そのことを知るだけで、「ああ、また無駄な買い物しちゃった」が少なくなるはず。買い物をするとき、売り手側との駆け引きも楽しくなりそう。

■橋本之克(ゆきかつ)さんプロフィール
マーケティング&ブランディングディレクター / 昭和女子大学 現代ビジネス研究所 研究員
東京工業大学工学部社会工学科卒業後、大手広告代理店でメーカーなどのマーケティング企画業務を実施。日本総合研究所、アサツーディ・ケイを経て2019年に独立。行動経済学に関する講演、執筆、企業研修講師のほか、企業のマーケティングやブランディングの戦略作りに携わる。主な著書に『世界最前線の研究でわかる スゴい!行動経済学』(総合法令)、『9割の人間は行動経済学のカモである ~非合理な心をつかみ、合理的に顧客を動かす』(経済界)、『モノは感情に売れ! 』(PHP研究所)などがある。


※画像提供:秀和システム


 
  • 書名 9割の買い物は不要である
  • サブタイトル行動経済学でわかる「得する人・損する人」
  • 監修・編集・著者名橋本之克 著
  • 出版社名秀和システム
  • 出版年月日2021年9月10日
  • 定価1,650円(税込)
  • 判型・ページ数四六判・256ページ
  • ISBN9784798062938

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