早く起きなさい! おもちゃ片づけなさい! 机整理しなさい! ランドセル玄関に置きっぱなしにしない! ガミガミ言う親も、言われる子どもも、お互いうんざりである。
大阪大学教授・松村真宏(まつむら なおひろ)さんの著書『松村式 子育て仕掛学』(主婦の友社)は、なんと「叱らなくても子どもがつい動いちゃう!」という「仕掛け」が満載の1冊。
ご褒美でも罰でもない、子どもの行動が変わる「仕掛け」とは?
著者は、中学生と小学生の娘の父親でもある。娘たちを見ていて気づいたのは、子どもには「子どもの世界」が見えているということ。
いつも娘たちは何を見ているのか、何を考えているのか、何に反応しているのか。娘たちと遊ぶこと(遊んでもらうこと)で、「娘たちの世界の価値観」を知ろうとしてきたという。その経験から得た知見を、本書にまとめている。
「大人の価値観を押しつけて子どもたちを動かすのではなく、子どもの世界観にどっぷり浸り、子どもと一緒に楽しみながら子育てに取り入れていただければ幸いです」
本書は「第1章 『ついしたくなる』にはワケがある! 子どもが変わる! 『仕掛け』の極意」「第2章 叱らなくても子どもがつい動いちゃう 『子育て』×『仕掛け』の法則11」の構成。
「○○しなさい!」と叱ったり「○○しないと××だよ!」と罰を与えたりしても、結局また同じことの繰り返し......。そんな親御さんに知ってほしいのが「仕掛学」。
これは「やりなさい」「早くして」と言いたくなるところをぐっとこらえて、別のもっと楽しくなるやり方、言い方に変えてみようという、著者が提唱する学問分野。
「仕掛けとは、『ついしたくなる』ように間接的に伝えて、結果的に問題を解決するというもの。人の好奇心を刺激し、興味を持たせることで行動の変化を促します」
「仕掛け」の仕組みは、物理的トリガ(知覚できる物体、音など)に心が反応する→心理的トリガ(やってみたい欲求など)が生まれる→いつもと違う行動を引き出す、というもの。
ここで、具体的な「仕掛け」を2つ紹介しよう。
■ゴミをポイ捨てしなくなる「仕掛け」
仕掛け ゴミ箱の上にバスケットゴールを設置する
心理 ゴミをシュートしたくなる
結果 ポイ捨てしなくなる
著者は大学のキャンパスで、普通のゴミ箱とバスケットボールのゴールを設置したゴミ箱を並べ、ゴミ箱の利用人数を調査した。すると、1.6倍の人が後者を利用したという。
これは「ついつい狙いたくなる仕掛け」。ゴールを見れば、人はシュートしたくなるもの。おもちゃ箱の上にバスケットゴールを設置したら、遊んでいたらいつの間にか片づいていた! となりそうだ。
■順番どおりに並べる「仕掛け」
仕掛け ファイルボックスの背表紙に斜めにテープを貼る
心理 テープが一直線になるように並べたくなる
結果 整理整頓ができる
たとえば、ボックスの背表紙にテープを斜めに貼る。または、ボックスの背表紙の幅に合わせた紙に絵を描き、カットして貼る。すると、テープや絵を順番どおりにしたくなるという。
これは「ついつい並べたくなる仕掛け」。整っていない、そろっていない、あるべき場所にない。不協和を感じると、人はそれを解消したくなるという。人の心理を利用したちょっとした「仕掛け」で、整理整頓がグンと進みそうだ。
子どもがやってみたい「仕掛け」を選ぶのも、親子で一緒に「仕掛け」を考えるのもいい。親にとってイライラの種でしかなかった子どもの「○○できない!」が、親子の楽しみの種になるだろう。
■楽しい仕掛けを作る3つのポイント
1 簡単すぎてもダメ! "がんばったらできる"難易度がベスト
2 親子で、きょうだいで! 「ヨーイドン」の合図でやる気アップ
3 「もっとやりたい!」を引き出すためにどんどん改良を
■松村真宏さんプロフィール
1975年大阪府生まれ。大阪大学基礎工学部卒業。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。2004年より大阪大学大学院経済学研究科講師、07年より同大学准教授、17年より同大学教授。04年イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校客員研究員、12~13年スタンフォード大学客員研究員。
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