「赤ちゃんって、どこからくるの?」「セックスって、なに?」
子どもからそんな質問を投げかけられたら、あなたはなんと答えるだろうか。「もう少し大きくなったらね...」とうやむやにしているうちに、子どもは思春期になり、いっそう話しづらくなった、というのはよくある話だ。
子どもへの「教え方」が分からないのは、親世代の私たちも、性に関する知識をしっかりと教わった経験がなく、「なんとなく」身に付けて大人になったから。
だが、親の性教育の知識が不足していると、子どもたちも正しい知識を得られず、一人で悩んで誰にも相談できなかったり、性犯罪被害を未然に防げないことも。
『子どもと性の話、はじめませんか? からだ・性・防犯・ネットリテラシーの「伝え方」』(CCCメディアハウス)は、「気負わず、誰でもできる、いつからでもできる、性の会話」が詰まった一冊。なかなか教わる機会のない性教育について、知識をアップデートしていこう。
本書は、今までに100万人以上が訪れた性教育サイト「命育(めいいく)」に寄せられた保護者からの悩みや疑問をベースに、専門家の監修のもと書籍化されたものだ。著者は「命育」代表の宮原由紀さん、監修は産婦人科医の高橋幸子さんが担当している。
テーマは妊娠や避妊だけではなく、男女の体の違い、性的同意や性犯罪、性感染症や望まない妊娠、LGBTQ、自撮り被害など多岐にわたる。
お子さんの年齢に応じて、伝えておきたい性の知識を具体例と共に解説。幼児期から高校生まで、どの世代の子どもにも使える保存版である。
もくじは下記の通りである。
はじめに──学校に性教育を丸投げしていませんか?
第1章 これだけでも知っておこう! 性教育7つの心得
第2章 幼児期(3歳ごろ~就学前)の性教育、どう始めたらいい?
第3章 児童期(小学校低学年~中学年ごろ)の性教育、何をどう伝えたらいい?
第4章 思春期(小学校高学年~高校生ごろ)の性教育、どう見守る?
第5章 性の「困った!」こんなとき、どうしたらいい?
ここでは、第1章の「性教育7つの心得」を紹介しよう。
心得1 「性教育」が必要なのは子ども!...の前に大人から
心得2 「なるべく早め」がおすすめ! だけど「遅すぎる」こともない
心得3 性教育=セックス教育ではありません
心得4 保護者自身のプライバシーも大切にして
心得5 「自分ひとりで」「しっかりと」でなくても、大丈夫
心得6 "お父さん"には期待できない! ......なんてことはありません
心得7 「ネットリテラシー」は、性教育の重要な要素です
性の話は「タブー」ではない、始めるのに「遅すぎる」ことはない、ひとりで抱え込まないなど、目的意識さえはっきり持っていれば、あとは構えず、気楽に取り組むことが大切だと気づかされる。
「子どもの自慰行為を目撃してしまい、ショック!」「保護者がどこまで子どもの性・体を管理すべき?」「ひとり親の困った!」など、具体的なケースをもとに、「こんな時はこうする」といったアドバイスが明示されているので、とても頼りになる。
300ページを超えるボリュームだが、イラストが多く読みやすい。必要なところだけ確認する事典的な使い方もできる。巻末には困ったときのホットラインや、親子で楽しめるイラスト付録(PDFダウンロードあり)もついてくる。
子どもと過ごす時間が増える夏休み。我が子が性犯罪に遭わないためにも、そろそろ真面目に「性の話」、はじめませんか?
宮原由紀さんプロフィール
性教育サイト「命育」代表。大学卒業後、リクルート、アマゾンなどメディアやインターネット企業を約15年経験し、現職。子どもへの性教育に課題意識を持つクリエイターたちと、医師専門家協力のもと、命育を立ち上げる。サイト運営のほか、園や学校、PTA、地域などと連携して、多方面から家庭での性教育をサポートする活動に取り組む。3児の母。
高橋幸子さんプロフィール
埼玉医科大学医療人育成支援センター・地域医学推進センター/産婦人科医。日本家族計画協会クリニック非常勤医師。彩の国思春期研究会西部支部会長。
年間120回以上、全国の小学校・中学校・高等学校にて性教育の講演を行っている。NHK「あさイチ」「ハートネットTV」「夏休み! ラジオ保健室~10代の性 悩み相談~」に出演、AbemaTVドラマ「17.3 about a sex」、ピル情報の総合サイト「ピルにゃん」、家庭でできる性教育サイト「命育」、YouTubeチャンネル「SHELLYのお風呂場」を監修するなど、性教育の普及や啓発に尽力する。
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