どんでん返しと異世界エンタテイメントを掛け合わせた『亜ノ国へ 水と竜の娘たち』(KADOKAWA)が7月16日に発売された。『岬のマヨイガ』で、第54回野間児童文芸賞を受賞した柏葉幸子さんの意欲作だ。
あらすじは、以下の通り。
ずっと家族を持つことを憧れていた朴木(ほうのき)塔子。不妊治療をしていたが、夫が浮気相手との間に子どもを作り、離婚することになった。東北の故郷に帰り、見つけたのは亡き祖父のトランク。実はこのトランク、異世界「亜ノ国」への扉だったのだ。
魔力が全てを支配する過酷な世界に飛ばされてしまった塔子は、村の娘であるムリュのお世話係を担当することになった。初めて会った時からムリュに夢中になる塔子。そんなある日、60年に一度、城で行われる少女たちの命懸けの儀式「六祝の儀」にムリュも参加することとなった。命をかけた儀式で、塔子はムリュを守り切り、生き残ることができるのか――。
前半では塔子と亜ノ国の少女ムリュの冒険が、後半では塔子のルーツである朴木家と亜ノ国の関わりが描かれる。ラストには、あっと驚くどんでん返しが待っている。
本作のテーマは「母になる」こと。子どもを産めない女性、母に捨てられた女性、そして、一度は子どもを捨ててしまった女性が母になる。そうして育てられた娘もいつか母になっていく。
不妊、離婚、不倫、内縁、母との確執など、家庭内には様々な問題や悩みがある。同じ悩みを抱えた塔子の視点で描かれることで、現代を生きる私たちにも共感できる部分が多い。
装画を担当するのは、JR西日本のキャンペーンCMのイラストも執筆した人気イラストレーター、わみずさんである。「異世界」を見事に表現したカバーも要チェックだ。
■柏葉幸子さんプロフィール
1953年6月9日生まれ。岩手県盛岡市在住。『霧のむこうのふしぎな町(原題:気ちがい通りのリナ)』で第15回講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。『ミラクル・ファミリー』で第45回産経児童出版文化賞受賞。『牡丹さんの不思議な毎日』で第54回産経児童出版文化賞大賞受賞。『つづきの図書館』で第59回小学館児童出版文化賞受賞。『岬のマヨイガ』で第54回野間児童文芸賞受賞。著作多数。
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