いつの時代でも、人は人間関係に悩みを抱えているもの。友人関係をはじめ、職場、家族、パートナーとの関わり方など、いつでも頭を悩ませるのは相手の心の内がわからないことだ。「あの人はどうして自分に攻撃的な言い方をしてくるんだろう」「あの人にはどんなふうに思われているのか」など、悩みは尽きない。
そんな現代人のために、300冊以上の著書がある社会心理学者の渋谷昌三さんが立ち上がった。心理学の知識がなくてもすんなりと理解でき、すぐ実践に移せる『相手の心が9割わかる 大人のブラック心理学』(日本文芸社)が2021年6月29日に発売された。
渋谷昌三さんは、社会心理学者であり、目白大学名誉教授。1972年に学習院大学理学部化学科を経て文学部哲学科を卒業する。その後、山梨医料大学教授などを経て、2001年目白大学社会学部社会情報学科教授となった。
コロナの影響で、対面で話すよりもオンラインで話す機会が急激に増えた一方で、家族との距離が近くなった。このように生活様式が大きく変化することで人間関係も影響を受け、ストレスを抱えてしまう人も多い。そこで本書では、すべての人に対して使うことのできる、相手の心を見破る心理テクニックを分かりやすく解説している。
さらに、発言や意思疎通が難しいオンライン会議で成功するハウツーや、SNSから読み解く相手の本性、諦めきれない恋愛で使える心理テクニックなど、実用性の高い心理学を紹介する。
たとえば、SNSのプロフィール画像だけでも、投稿者の性格がわかるという。自分がはっきり映っている画像を使っている人は、SNSと現実世界の人間関係を「ひとつのもの」と考えており、承認欲求が強い人、という傾向がある。一方、画像がぼんやりしていたり、自分ではない画像を選んでいる人は、SNSと現実の世界とを区別しており、自分をみてほしいけれど、あからさまと思われたくない、と考えているというのが一般的な見方だ。
恋愛では、「親密度の4段階理論」を用いたテクニックが役立つ。
まだ互いのことを知らない第一段階、どちらかが知っている第二段階、お互いが顔見知りになった第三段階、そして、知り合いから友人、恋人へと発展する第四段階だ。最初は、自分の希望や願望を込めた小さなお願い、たとえば、気になる相手のデスクから「ちょっと使っていいですか?」とペンを借りる。そうしてささいなお願いからきっかけを作り、徐々に距離をつめていくのが効果的だ。
上司と部下の関係にも「段階を踏む」という心理戦は大切だ。一番の大きな要求を容認させるためには、小さい要求から受け入れさせていく。逆に、最初に大きな要求をして断られた後に、本命の要求を受け入れてもらう、というテクニックがある。
たとえば、データ入力を50ページ分やってもらいたい場合、「100ページお願いできる?」と聞いて断られたら、「じゃあ50ページならできるよね?」とたたみかける。すると、部下は最初の依頼を断ったうしろめたさから、「いいですよ」と受け入れてしまう、という心理を利用するのだ。
この「大人のブラック心理学」を使えば、気になるあの人の心の内も、気の重いオンライン会議でも、スムーズに物事が進むかも。
ただ、1点注意してほしい。実際に効果がありすぎるので、この本の編集者は「悪用厳禁」を謳っている。
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