最近よく耳にするが、いまひとつ実体がつかみづらい「自律神経」。
自律神経研究の第一人者である順天堂大学医学部教授・小林弘幸さんの著書『自律神経にいいこと超大全』(宝島社)は、「自律神経」の正体と、免疫力アップ・イライラしない・ストレスフリー・太らない・アンチエイジング・脳の活性化に効く「自律神経」の正しい整え方を紹介する1冊。
部屋を片づけると呼吸が深くなる・「おいしいもの」を食べるのが理想・階段の上り下りで怒りをコントロール......など、「なんとなく不調」が消える小林メソッドを完全図解した決定版となっている。
「この一年ほど、『自律神経』の持つ意義が高まりを見せたことは過去においてありませんでした。なぜならば、『自律神経』と感染症予防は切っても切りはなすことができない密接な関係を持っているからです」
はじめに、目に見えない「ウイルス」という相手に対して「過剰に恐れおののく必要はまったくない」と強調している。
小林さんの実感としては、昨年3月以降、過剰に恐怖心を抱くことでメンタルヘルスを損なう患者が増加しているという。やみくもに恐怖心を抱くだけでは「自律神経」が乱れ、免疫力は低下。「感染しやすい体をみすみすつくり出しているようなもの」なのだとか......。
「感染症との闘いは『自分との闘い』、すなわちメンタルケアそのもの。このことが、医療の現場に携わっている私から読者の方々に送るメッセージです」
そこでいま知っておきたいのが、小林さんが長年研究してきた「自律神経」や「腸内環境」を整えて「免疫力」を高めるメソッド。88の「自律神経にいいこと」がズラリと並ぶ。
■目次
序章 疲れ、イライラ、不安もコレが原因だった!? 自律神経の仕組みとは?
第1章 毎日のルーティンを見直して体質改善! 自律神経にいい一日の習慣
第2章 腸内環境を整えて底力をつける! 腸活で自律神経を整える
第3章 ひと工夫で簡単にリラックス! 自律神経にいい休息の方法
第4章 今日から実践しよう! 日常でできる自律神経にいい習慣
まず、「自律神経」について。これは呼吸、内臓器官のすべて、血管をコントロールするもので、「人間の生命活動の根幹=ライフライン」を支える神経ともいえる。「交感神経」(クルマにたとえるとアクセル)と「副交感神経」(ブレーキ)の2種類で構成される。
「自律神経」が整うと、免疫力アップ・快眠快便・若返り・肩こりや冷えの改善・うつ解消・仕事のパフォーマンス向上などが見られる。一方で「自律神経」が乱れると、便秘や下痢・食欲不振・肌荒れ・冷え性・風邪・血圧や心拍数の上昇・メンタルの不調などが見られるという。
88の「自律神経にいいこと」から、2つ紹介しよう。まずは「腸には適度な刺激が必要 腸内環境を整えるためには一日3食がベスト」から。
運動不足、カロリー過多の現代社会では、1日1食または2食で十分という意見もある。しかし、食事は単なる栄養補給ではなく「食事=腸への刺激」という意味で、小林さんは1日3食をおすすめしている。
「自律神経」の小さな変動を1日3回起こすことで、余分な疲れ・ストレス・脂肪を溜めこまない体になることから、「メタボの防止」にも1日2食より3食がいいそうだ。
もう1つは「1秒だったものを2秒かけるくらい『ゆっくり』動くことを心がける」から。「自律神経」は「本当に繊細」で、季節の変わり目・環境の変化(外的要因)や食事・睡眠(内的要因)で変わり、とりわけ精神状態から大きな影響を受けるという。
たとえば、時間ギリギリで行動していると、焦って動いて交感神経の働きが高まる。すると呼吸が浅くなり、血流は乱れ、心身のパフォーマンスは低下し、免疫力低下。さらに脳の働きも低下し、思考力・判断力は落ち、ミス連発......。
そこで「ゆっくり」動くことが重要になる。イライラしているとき・失敗したときほど、早めに起きる・ゆっくり歯を磨く・ゆっくり朝食をとる・ゆっくり歩くことを心がける。これにより呼吸が深く安定し、副交感神経の働きが高まるという。
「本書では『自律神経にいいこと』をふんだんに紹介し、自律神経を整える実践的な方法を念入りにお教えします」
効果的な感染症対策として注目を集めているという「自律神経」を整えるアプローチ。さまざまな情報が飛び交うなか、「自律神経」のスペシャリストが「念入りに」教える本書は、正しい知識を吸収するためにぜひ押さえておきたい1冊。
■小林弘幸さんプロフィール
1960年埼玉県生まれ。順天堂大学医学部教授。スポーツ庁参与。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上の指導に関わる。おもな著書に『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版)、『自律神経を整えるぬり絵』『聞くだけで自律神経が整うCDブック』『医者が考案した「長生きみそ汁」』(すべてアスコム)など。
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