累計30万部を突破した人気シリーズ『活版印刷三日月堂』の著者、ほしおさなえさんの最新刊『言葉の園のお菓子番 見えない花』(大和書房)が2021年3月12日に発売された。
本書は、元書店員の主人公が「連句」を通して人や言葉と出会い、共に成長していく物語。「連句」とは俳句、俳諧の手法の一つで、最初の人が作った句(五七五)の情景を用いて、ほかの人が後の句(七七)をつけ、さらに別の人が五七五をつけて...とつなげる遊びだ。
主人公の一葉(かずは)は、勤めていた書店が閉店し、突然職を失ってしまう。実家に戻った一葉は、連句が趣味だった祖母・治子が亡くなる前に一冊のノートを読んで欲しいと言っていたことを思い出す。こには、「お菓子」の名が連なったリスト、そして祖母から一葉に宛てた手紙があった。
一葉へ。
ずいぶん具合が悪くなってしまって、やっぱり歳だね。おばあちゃんはもうここに戻れないかもしれません。
いつか「ひとつばたご」に行って、わたしのことを伝えてくれるとうれしいです。そのときはこのお菓子を持っていってください。お菓子番がいなくなって、みんな困っているかもしれない。
ずっと楽しかった、ありがとう。皆さんにそう伝えてください。 治子
連句の席は、お昼に始まり夜までかかる長丁場のため、途中でおやつが供される。季節に応じてさまざまな和菓子を手に連句会に通っていた一葉の祖母は、自分のことを「お菓子番」だと語っていた。
手紙を見た一葉は、治子の遺志を引き継ぐことを決意し、お菓子番になることに。はじめは戸惑いながら参加していたが、徐々に連句の魅力に惹かれていく。そして、連句会での出会いが新たな出会いを呼び――。
言葉と想い、人、自分にとって大切なものが、連句を通じて繋がっていく。共感と勇気、そして愛に溢れた作品である。
目次は下記の通り。
春の香りの
一等賞になれなくても
パン屋さんと月
浮き世の果て
海のブルース
見えない花
著者のほしおさなえさんは、1964年東京都生まれ。95年に発表した『影をめくるとき』が第38回群像新人文学賞優秀作受賞し、同年、詩人としてデビューを果たす。その後、2016年には『活版印刷三日月堂 星たちの栞』が第5回静岡書店大賞を受賞し、ベストセラーとなる。他にも、「菓子屋横丁月光荘」「紙屋ふじさき記念館」シリーズ、『三ノ池植物園標本室』(上下巻)、『金継ぎの家 あたたかなしずくたち』なども人気。
本書に登場する和菓子は、実在する有名なお菓子だ。お取り寄せしてお茶と一緒にいただきながら、物語の世界にどっぷりはまりたい。
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