原発、東日本大震災、難民問題、ヤングケアラーなど様々な問題を取り上げ、社会派児童文学作家として知られる濱野京子さんの新刊『野原できみとピクニック』(偕成社)が3月24日に発売される。今回は「格差社会」をテーマにラブストーリーを紡ぐ。
高校進学を機に、学力や考え方、生活環境が近い人と過ごす時間が増え、一定の価値観が形成されていく人は多いだろう。
本書の主人公は、お互いに自分とは違う世界の人と思っている者同士。普段であれば関わることのない二人だったが、繁華街で男子高生に絡まれていた優弥を、たまたま通りかかった稀星(きらら)が助けたことから、物語が始まる。
実家がお金持ちで進学校に通う優弥と、アルバイトをしながら家計を助け、地元で底辺と呼ばれる学校に通う稀星。育ってきた環境の違いから、初めはお互いの「普通」に戸惑うことも多い。
しかし、環境や、周りにいた人たちが違うからこそ、相手との違いを理解しようと寄り添い合う。自分にとっての「普通」を押し付けず、想像力を働かせて相手の気持ちを思いやる。互いを思う二人の気持ちは、周りの友人たちにも影響を与え、稀星が手伝う「子ども食堂」を中心に、これまで交わることのなかった2つの高校の生徒たちをつないでいく――。
「不寛容社会」ともいわれる今、大切なことに気付かせてくれる一冊。
著者の濱野京子さんは熊本生まれの東京育ち。過去に『フュージョン』(講談社)で第2回JBBY賞、『トーキョー・クロスロード』(ポプラ社)で第25回坪田譲治文学賞を受賞。そのほか、『バンドガール!』『石を抱くエイリアン』『アギーの祈り』『with you』『この川のむこうに君がいる』などの作品がある。
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