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ペット欲しい...その前に、捨て犬・未来が伝える「命の授業」を知って

 このところ家にいる時間が増え、気軽に人に会えないさみしさから、ペットに癒やしを求める人が増えているという。急増するペット需要の裏では、飼育放棄などのトラブルも問題視されているそうだ。

 そんな背景から、2020年9月10日、改めてペットとの向き合い方や命の重さについて多くの人に考えてもらいたいと、『いつかきっと笑顔になれる~捨て犬・未来15歳~』(青春出版社)が発売された。

画像は、『いつかきっと笑顔になれる~捨て犬・未来15歳~』(青春出版社)撮影:BOOKウォッチ編集部
画像は、『いつかきっと笑顔になれる~捨て犬・未来15歳~』(青春出版社)撮影:BOOKウォッチ編集部

 未来(みらい)は柴犬の女の子で、生後1~2か月の頃に人間から虐待を受け、右目は切られ、右後ろ脚は足首から下が切断され、左後ろ脚も足の指がすべて切り取られた状態で捨てられていた。殺処分の直前に保護ボランティアに救われ、その後、里親となった児童文学作家の今西乃子(いまにし・のりこ)さんの元で暮らし、少しずつ人間との絆を取り戻していった。

 未来は1歳の頃から、今西さんと共に、命の大切さを伝える「命の授業」に出かけている。小学校、中学校、大学、専門学校、図書館、公民館、動物愛護センター、刑務所、少年院など。東日本大震災で被災した学校へも出向いた。

 未来が15歳になるまでに、授業は230か所以上で行われ、そのうち約半数は同行した。未来と触れ合った人は2万人を超えるという。

 本書には、未来との出会いをきっかけに、悩みを克服したり、夢を実現させた子どもたちの、奇跡のような実話が書かれている。

 特に印象に残ったのは、小学校4年生の女の子から数年間、未来宛てに届いていたという手紙の話。いつも「未来ちゃん、助けて!」と始まり、多くは友だちからのいじめによるつらい気持ちが書かれていたそうだ。彼女の成長とともに手紙はラインへと変わり、高校生になった夏休みを前に、パタリと止まる。未来への最後のメッセージは「自分を心から心配してくれる友だちがやっとできたよ......。泣けるね......。未来ちゃん、今までありがとう」だった。

 子どもたちの心に寄り添い、支えにもなっている未来と今西さんの「命の授業」。自分にとって、みんなにとっての幸せとは何か、やさしさとは何かを改めて考えさせられる内容だ。


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