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たった40分で小説が書ける! 延べ2万人が夢中になった「田丸式メソッド」

 物語を書きたい人、アイデア不足に嘆く人必見の「小説講座」がある。本書『たった40分で誰でも必ず小説が書ける 超ショートショート講座 増補新装版』(WAVE出版)は、ショートショート作家・田丸雅智(たまる まさとも)さんが全国各地で行い、小学生からシニアまで延べ2万人以上(2019年時点)が体験した講座をまとめた一冊。本書は2015年に刊行された同タイトルの増補新装版。

 本書の特徴は「創作の入門書として最適!」「肩ひじ張らず、気軽に挑戦できる!」「アイデアが必要なさまざまな場面にも応用がきく!」「どんどん書きたい意欲がわく!」「おとなでも子どもに負けない奇想天外な発想ができる!」というもの。

 物語を書くことに関心がある人ならまだしも、アイデア不足に嘆く人にも効果アリ? 「たった40分」? 「超ショートショート」? 頭にいくつかの?が浮かんだまま、田丸さんのショートショートの世界へ足を踏み入れた。

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写真は『たった40分で誰でも必ず小説が書ける 超ショートショート講座 増補新装版』(WAVE出版)の表紙。

短くて不思議な小説

 田丸さんは、2013年より幅広い世代を対象に全国各地で「ショートショートの書き方講座」を開催している。学校をはじめ、17年からは更生に活かしてもらうため少年院で開催したり、イノベーションを生む方法として企業などで開催したりしている。

 本書の目的は、原稿用紙1~3枚程度の短くて不思議な小説「超ショートショート」の書き方を伝えること。実際の講座は基本的に90分。本書では、ワークにかかる時間のみを合計し「40分」の講座としている。

 「田丸式メソッド」の特徴は、「誰でも」必ず書けてしまうこと。作文が苦手な人、創作意欲があっても何をしたらいいかわからない人、ビジネスの現場でアイデアが出ず悩んでいる人も、たった40分でこれまでにない発想がわき、オリジナル作品が書けてしまうという。

 さらに、講座で学ぶことができるのは「小説の書き方」だけではない。超ショートショートの創作は、「発想力」「論理的思考力」「コミュニケーション力」「文章力」という社会で求められる力を伸ばすことにも大いに役立つという。

 プロの小説家を目指している人、趣味程度に嗜んでみようかと思っている人、なんとなく興味がある人、その誰にも共通して伝えたいこととして、田丸さんはこう書いている。

 「とにかく楽しむことを忘れないでください」
 「何をやってもOK。自由自在に楽しんだもの勝ち」
 「ルールのない自由な世界を、存分にお楽しみあれ!」

超ショートショートのつくり方

 本書は以下の7章構成。巻末には、講座で実際に使用するワークシート付き。本書を読み、ワークシートを使い、作品を完成させる。読者が気軽にチャレンジできるようになっている。

第1章 ショートショート作家としての、ぼく
第2章 【講義編】超ショートショートのつくり方
第3章 【実践編】実際に書いてみよう
第4章 まとめと応用
第5章 実際の作品例
第6章 超ショートショートの即興ライブ
第7章 Q&A
付録  ワークシート1「名詞を探す/名詞から思いつくものを書いてみる」
    ワークシート2「不思議な言葉から想像を広げよう」

 ここでは「第2章 【講義編】超ショートショートのつくり方」より、具体的な方法を紹介していこう。

■事前のワーク

1 名詞を探して書いてみよう(3分)
 思いつく名詞を記入していく。ワークシートの枠は20個。全部埋まらなくてもOK。

 田丸さんの例......「ガラス」「粘土」「太陽」「タコ」「傘」など。

2 名詞から思いつくことを書いてみよう(4分)
 1で書いた名詞の中からひとつ選ぶ。その言葉から思いつく言葉を記入していく。一見無関係に思えることでも何でもOK(名詞、形容詞、動詞、副詞など)。ワークシートの枠は10個。こちらも全部埋まらなくてもOK。

 田丸さんの例......1から「太陽」を選び、そこから「発電に使える」「ぽかぽかする」など。
■3つのステップ

ステップ1 不思議な言葉をつくる(5分)
 事前のワークで記入した「2 名詞から思いつくこと」と「1 名詞」を自由自在、あべこべに組み合わせる。不思議であればどんな言葉でもOK。

 田丸さんの例......「発電に使えるタコ」「ぽかぽかする傘」。

ステップ2 不思議な言葉から想像を広げていく(8分)
 ステップ1でつくった不思議な言葉の中から、ひとつ選ぶ。まず、その言葉(モノ)の説明を簡単に書く。次に、そのモノのメリットを書く。さらに、そのモノのデメリット、もしくは意外な特徴・使い方などを書く。

 田丸さんの例......「発電に使えるタコ」は「電気ウナギの原理を発展させてつくられた、発電できるタコ」と説明。メリットは「一度に8個の電源コードをつなげる」。デメリットは「一度にたくさんの電気を使うと熱くなって、ゆでダコになってしまう」。

ステップ3 想像したことを短い物語にまとめる(20分)
 まとめるにあたり、ステップ2の内容をすべて書く必要はなく、取捨選択してもOK。

 田丸さんの例......「発電生物」という作品を披露している。

 「第4章 まとめと応用」では、「超ショートショートを膨らませるためのアドバイス」「ビジネスシーンへの応用」など発展的な内容を書いている。「第7章 Q&A」では、田丸さんの執筆の裏側に迫っていて興味深い。田丸さんや受講者の作品例、ワークシートの記入例を多数掲載。いざ自分で書いてみよう! というときの参考になる。

 田丸さんはよく「ショートショートに親しむことで、日常が彩られ、ひいては人生が豊かになりうる」と言っているという。そして、ショートショートの魅力をこう書いている。

 「ショートショートに親しむことで、物事をひとつの視点からだけではなく、いろいろな視点から多角的にとらえられるようになっていき、それまでありふれていたはずのものが、途端に輝きはじめるのです」

 原稿用紙1~3枚なら自分も書けるだろうか。書いてみたら、これまで見たことのない景色が見えるかもしれない......。田丸さんのショートショートの世界を覗いて、創作の楽しみを体験してみたくなった。

田丸雅智さんプロフィール

 1987年愛媛県生まれ。東京大学工学部、同大学院工学系研究科卒。2011年『物語のルミナリエ』に「桜」が掲載され、作家デビュー。12年に樹立社ショートショートコンテストで「海酒」が最優秀賞受賞。「海酒」は又吉直樹さん主演で短編映画化され、カンヌ国際映画祭などで上映された。坊っちゃん文学賞などで審査員長を務める。17年に400字作品の投稿サイト「ショートショートガーデン」を立ち上げ、さらなる普及に努めている。『海色の壜』『おとぎカンパニー』など、著書多数。

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