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「クリア」がないから無限にハマる!? スマホゲーム依存対策の決定版

 学生時代、友人に聞いた話である。某女性向けスマホゲームにハマりすぎた友だちがクレジットカードの上限までガチャに課金した結果、お金がなさすぎて毎日千切りキャベツをお昼ご飯にしていたらしい。

 卒業後、その子がどうしているかは聞いていない。しかし今思えば、当時の彼女は完全に「スマホゲーム依存症」になっていたのだろう。

画像は、『スマホゲーム依存症』(内外出版社)
画像は、『スマホゲーム依存症』(内外出版社)

 書籍『スマホゲーム依存症』(内外出版社)の4版重版が、2020年9月18日に決定した。著者は、精神科医であり国立病院機構久里浜医療センター院長を務める樋口進先生で、本書の他にも『ネット依存症』(PHP新書)など多数の著書がある。WHOと共同プロジェクトを組み、「ゲーム依存」の疾病化の流れを主導した、依存治療の第一人者である。

 2017年12月26日に発売された本書は、あらゆる角度から「スマホゲーム依存」への対策を網羅した、決定版と言っていいだろう。樋口先生自身が作成に携わった「ゲーム依存」診断ガイドラインの最新草稿に基づき、若い世代から働き盛り・子育て世代へと拡大を続けている、スマホゲーム依存。その依存リスクに警鐘を鳴らす一冊である。

 いつでもどこでもプレーでき、「クリア」という概念が希薄なスマホゲームには、大きな依存リスクがあるという。しかも、他の依存に比べて進行が速く、本人や家族が異変に気づく前に重症化してしまうことも多い。

 最新の研究では、ゲーム刺激がもたらす反応の結果、脳が破壊され萎縮していくことが明らかになっているそうだ。「ガチャ(課金)」の刺激が脳内に引き起こす反応は、ギャンブル依存患者のそれと酷似しており、きわめて高い依存性がある。

 本書には、スマホ依存やインターネットゲーム依存の把握に役立つスクリーニングツール(第3章)、スマホゲーム依存の自己チェックツールと予防法(第5章)、医療現場で効果を上げている治療法(第6章)のほか、本人への「声掛け」のタイミングや言葉の選び方など、スマホゲーム依存患者の家族に役立つ実践対応(第7章)も収録されている。

 まさに「決定版」にふさわしい充実した内容で、依存当事者の本人に限らず、周囲の家族や友人にも大きな学びがあるにちがいない。


 

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